825話 人、それをビームサーベルと言う


「さあ聖剣を!聖剣をください!」

 なんかジャンヌさんが大興奮で騒いでいる。

「分かってますからそんな急かさないでください〜」

 廣瀬お姉さんが振り回されている?

「はい、コレですよ〜」

「おおー…柄だけ?」

「ああ、失礼しました。こちらは超越者用のプロトマックスタイプでした」

「なんかすごい言葉が紛れていましたが!?」

 絶対兄さんのやらかし武器だろうなあ、アレ。


「こちらが上位聖人用version3プロトタイプ通称仏塔です」

「私キリスト教徒なんですけど!?」

 確かに仏塔と言われたら否定できない柄の形状だ。ただ、柄頭に飾られているクリスタルは間違いなく聖水晶。破魔・抗魔両用の武器と言える。

 ガード部分が一切無い直剣タイプに見えるけど、鞘がオリエントな雰囲気で格好いい…と言うかそれのせいで余計に柄が仏塔に見えるなぁ…

「グリップを握り、力を送り込んでください」

「おおおおおおお……なんか吸い取られる感がありますよ!あっ、水晶が光った」

「では鞘から引き抜いてください」

「あっ抜け…おおおおおおおおおっっ!ブレードが光っていますよ!?というよりも光そのもの!?」

「聖光の刃を物理干渉させる手法を術式として柄に組み込んだ一品です。オーバーチャージさせれば余剰分は刀身に反映されるので長さや硬度に反映されます」

「ふおおおおおっっっ!伸びます!凄いです!」

 廣瀬お姉さん…ジャンヌさん、多分話聞いてないです。

 でも廣瀬さんは笑みを崩さずにその様子を見ている。

「廣瀬お姉さん、注意しないんですか?」

「いえ?クライアントさんにもこんな方はいましたし。自分の世界に入って考えをまとめて戻ってくるまで4時間とか、同じ説明を何度も繰り返さないと理解出来ない方もいましたので…特に何とも思いません」

「うわぁ…」

「詳細を専門的にしっかりと説明してくれと言われて1時間かけて説明した際、言われた台詞が「もっと要点をまとめて説明してくれないと分からないじゃ無いか」と言われたこともあります。その際は5つのポイントを各20秒で説明しました」

「廣瀬さん…それは…」

「そんな事は仕事人あるあるですよ~」

 あるあるであって欲しくないです…



 ゆる姉様やせお姉様の神国配信は毎日21時から、僕はだいたい毎日14~15時辺りなので、廣瀬お姉さんとジャンヌさんの配信を毎日6時に行うこととなった。

 いやなんで?

「簡単に言えば牽制、ヘイト管理です」

 廣瀬お姉さんが真面目な顔で言う。

「今回私は祓戸様的な立ち位置で配信対応致しましたが、やはり害意を持ってコメントを書き込んでくる人達がかなりの数居ました。

 解析を同時進行で行っておりますので後ほどミツルギ様方にレポートをお渡ししますが…毎回これでは必要な事を語ることができなくなる。そう思い分散をと」

「でもそう言った人達って時間関係なく粘着しない?そんなイメージだけど」

「しますよ。そう言った人達を閉め出すという意味でもこの配信が活きるというものです」

 うーん、良く分からない。けど、廣瀬お姉さんがやるというのなら応援する!


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