826話 ジャンヌさん妹枠説…だって19歳ですし?
「あーっ!なんか面白そうな武器使ってる!」
「面白いですよ!これ!」
「良いなぁ、楽しそう…」
「廣瀬さん、もっとありますか?」
「無いですし、それはオモチャではありませんよ~」
「「はぁい…」」
佑那が普通に入ってこられる位までここの状況が安定してるのはビックリだけど、マイヤとリムネーは忙しそうにしているんだよなぁ…
僕だけのんびりしていて良いのかなぁ…
SIDE:日本某所
「だから何度も言っているだろうが!日本政府は巫女様を外交の材料や交渉の道具として使うつもりはない!」
怒鳴る声とは裏腹にそっと通話終了を押し、ため息を吐く。
「浅野、これはいよいよ防ぎきれんかも知れんぞ」
遠野外務大臣が大きなため息と共に応接ソファで寛いでいる浅野副総理にそう声を掛けた。
「とうとう武力をちらつかせてきたか?」
「武力をちらつかせてくるのはいつもの事だが、どうやらかなり切羽詰まっているようだ。感情的になりすぎている」
遠野の苦り切った声に浅野は少し驚いた顔をした。
百戦錬磨の男がここまで疲弊するのかと。
そして同時に洒落にならない事態に陥っていることも察した。
「そこまでか」
「ああ。国防は俺では無いが、このままだと外交からの戦争となるぞ」
戦争という言葉にソファに預けていた身を起こし、遠野の方を見る。
「仕掛けてくるのは何カ国だ?」
何処が、とは聞かない。
「2カ国。下手をすると3カ国だな」
「…正直巫女様を抑えるために軍を派遣してどうにかなると本当に思っているのかねぇ?其奴らは」
神々が許さないという以前に護衛の者達、そして宇宙空間に居るという監視者が絶対に許さないであろう事は明らかだ。
「あの様子だと思ってはいないだろうな。自棄になっているのは確かだが」
「ほう?」
「限界なんだよ、国が。国民に対してモーションを見せているだけというのがバレているわけだからな。国民も巫女様を自国に引き込んでも本人を説得出来ないことは分かってはいるだろうな」
椅子から立ち上がり、棚から白磁の小壺を取り出し、浅野の元へと行く。
「…おい。それじゃあ其奴らは」
「盛大な花火でも上げたいんだろうよ。自分たちだけ地獄に落ちるのはズルイ、とでも思っているんじゃ無いか?」
テーブルの上に壺を置き、蓋を取る。
中には干菓子がギッシリと入っていた。
「国が亡くなる前の大花火だから大勢に参加して欲しい…って事か?」
室内にいた秘書官が2人分の茶を出す。
「全員が本気とは思わねえが、一人でも多く巫女様を恨んで欲しい…なんて言い出しかねん精神状態だったよ電話から感じたのは、な」
遠野は干菓子を一つ取り出し、自身の口へと放り込んだ。
玉虫色の回答も先送りの回答も一切許されない。ただ寄越せという喧嘩を吹っ掛けるような、宣戦布告とも取れるその電話は録音されていたため数分で関係各国と共有された。
そして問題の国と国境を挟んだ関係国が急ぎ問い合わせをするも反応が無かったため、調査隊を派遣した。が、
「は?国が、無い?」
関係国からもたらされた情報は予想だにしない物だった。
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