949話 ああ見えても、疲れまんねん
配信を終えて一息吐くとフィラさんが現れてちーくんを抱き上げた。
ちーくんはフィラさんを信頼しているのか起きる気配が…あ、起きた。
「はいしんおわったの?」
「終わったよ」
「みんなであそぶのは?」
「箱庭で他の白獅子のみんなとマイヤやみいくん、みゆちゃんたちと遊ぼっか」
「うんっ!」
満面の笑顔で頷いたちーくん。
……フィラさん。尊さが鼻からオーバーフローしてますよ…
「いやあ…今日辺り来るかなと思って売店にみこ様退魔ステッカーを一人一枚の数量限定で販売したらぼったくり価格でも全部売れちゃったよ!」
せお姉様がもの凄い上機嫌で箱庭にやってきた。
でもなんだかすっごいお疲れな感じなんだけど?
「ぼったくり価格、ですか」
「限定700枚で1枚500万円!ちょっと改良はしたけど基本前にプレゼントしたやつとおなじだよ」
えっ?
完売って、さんじゅうごおくえん?
「各国の大使と職員が一列に並んで買い物してたよ。本来の目的は食料関係だったみたいだけど、少しは世界に出回ったかなぁ?」
「3割は神が審議の石板経由で負担する…でしたっけ?」
「最終的には3割切って欲しいけど…今の調子だと無理かなと思うよ。なんか畑とか復旧させてないし」
せお姉様の険しい顔にこれはマズイと感じた。
神々は人の怠惰を嫌う。
多少の怠惰は黙認しても限度がある。その限度を超えると…
「ちょっと話し合いが必要かも知れないね」
「いやあ…現代の農業って機械ありきだからそれを壊されたとか、融資を断られて何もできないとかじゃあ…」
「あー…その辺りも調べなきゃいけないのかぁ…大規模農家を何件かピックアップして調べよう。夕方の配信で警告出さないと」
「でも、今農場があった所は結界に覆われていませんよね?」
「覆われているところもあるよ?全部覆われていないからってそこを放置するのは違うよね?」
「採算が取れないとかでは?」
「生命に関わる問題なのに採算取れないって止めるの?」
「採算取れないのも命に関わりますから…かといって援助などをするとそれを目当てに形だけという輩も増えますし」
その辺りは人の”利”に関わる根幹の問題だからどうしようもないんだよなぁ…
「そう言うところ、人間って馬鹿だなぁって思うよ。僕たちも結構やらかすけどさ」
「調子乗った神様がやらかすエピソードは神話とかでも結構ありますしね」
「神によってはあれで千年近く引き籠もるのもいるよ。そう考えるとまあ、分母が大きくなった分映し鏡だったはずがとんでもない事になっていると…神々の痴態を見て育った人がまともなわけ無いか」
せお姉様が急にドライになった!?
「大丈夫?仕事で疲れすぎてない?膝枕する?」
「ひざまくらすりゅ!」
ああ、やっぱりせお姉様疲れてるんだ…
「祓戸…ここに居たか…」
あ、ミツルギ姉様も来た。
なんか凄くお疲れ戦神モードで…
「ミツルギ姉様、大丈夫?膝枕する?」
「すりゅ!」
…この神様方、ここまで疲弊しているってどうなの?昔より酷くない?
「……システムの書き換えがね…私達だけでする仕事量じゃないよ、あれ」
「仕様変更、ロールアウト、また仕様変更…ふふ、ふふふ…」
「1時間で良いので僕とお昼寝しましょうか」
「「…うん」」
いやホントに何処までも疲れているんだなぁ…
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