659話 静留さんと、式神さんの報告
僕は気付いた。
「なんで他所様の国の貨幣に対して考えているんだろう…」
「他所じゃないからね!?」
「でも僕日本の人だし、最悪箱庭に引き籠もるという手もあるし…」
「ここである程度しっかり決めておかないと後でトラブルになるから!ゆーくんの周りの人達が迷惑を受けるのは避けたいでしょ!?」
ミツルギ姉様が必死だ…まあ、それはそうなんだけど。
「結羽人さんに呼ばれたんだけど…重要案件だからって」
静留さんが慌てた様子で来た。
えっ?静留さん巻き込むの!?
困惑する僕と佑那。
まさか兄さんが誰かを巻き込むなんて思わなかったから。
「まさか静留さんを巻き込むなんてね」
「あっ、私関係しないからね!?」
「「えっ?」」
まさかの台詞に僕と佑那は混乱した。
「結羽人さんがなんか今回の件は私が関わったらマズイらしいから」
「じゃあなんで呼んだんだろう…」
「静留お姉さんっ!?」
ミツルギ姉様と話し合っていた紅葉さんが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「えっ?…美月ちゃん?」
「はいっ!お久しぶりです!」
「うわぁ…大きくなったね…6年ぶり?」
「はい!」
超引き籠もりダウナー系淑女な紅葉さんが凄い反応だ。
「佑那…もしかして紅葉さん、静留さんの所で働く事になったら引き籠もらない?」
「いやぁ…それはどうだろう…その程度だったら兄さんのご飯に釣られて普通に来ると思うんだ」
「って事は、今日もぐずった?」
「……うん」
ぐずっても来るというのは凄い進歩なんだけど、なんだけど!
「ん?静留の方が早かったか。呼び出して済まんな」
僕と佑那が話し合っていると僕の部屋の扉が開き、兄さんが現れた。
「重要な案件って言われたら慌てるわ。何かあったの?」
真剣な表情の静留さんに兄さんは小さく頷く。
「ああ。廣瀬氏」
「はい。ご歓談中失礼します。私、現在式神の職を務めさせて戴いております廣瀬と申します」
一人のビジネススーツ姿の女性が姿を現した。
そしてその女性は徐にビジネスバッグからファイルケースを取りだし、静留さんに渡した。
「本日までの1年間、私が護衛と身辺調査をした結果です」
「えっ?えっ!?」
突然の事に何が何だかといった表情の静留さんに対して淡々と
「盗聴盗撮の類に関して逆探知を行い、一覧をリストアップしてあります。無論全て機能を殺してありますのでご安心を。会社の不正問題と改善点に関して私の方で確認できたものは箇条書きでまとめてあります。
それと、襲撃者に関してですが…ご親戚2件と後ろ暗いライバル会社3社、裏組織2箇所、ストーカー1名の証拠と私が行った一時的対処及び報復を記載しています。詳細は各項目のカラーインデックスに添付しているDVD-ROMをご確認ください」
そう言って静留さんに一礼すると兄さんの後ろに着いた。
「………えっと」
「これからは汎用型の式神が護衛するから身辺護衛に関しては問題無いぞ」
「「「「いや、そういう問題じゃないよ!?」」」」
兄さんと式神?の廣瀬氏以外全員が叫んだ。
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