1067話 おぜう様出撃!


 世界への侵蝕云々という度合いはダンジョン側に目を付けられた時点で終わっているという可能性。

『お父様、世界さんが箱庭はまだ1界2相構造だから問題は無いそうです』

 と、リムネーから通信が来た。

「そうなの?」

『通常相と神聖相の二つだけとの事でした』

「そっか…リムネー、報告ありがとう」

『お姉様と私は引き続き世界さんと侵入対策を致します』

「うん、お願いね」



 実家に戻って来たしと、料理を作る。

 いやあ…神域や箱庭のキッチンに慣れすぎるとちょっと戸惑うね!

「ゴボウ巻きといなり寿司、長ネギと油揚げのおみそ汁できたよー」

「「「ふおおおおおおおっっ!!」」」

 佑那、玉藻お姉さん、板額さん大興奮。

 3人とも奪い合うように、但し優雅に食べている。

 付け合わせのキュウリの浅漬けも良い味しているからお食べ~

「「「わぁい!」」」

 この人達、知能下がりまくってないかなぁ!?

 はぐはぐもぐもぐと全部食べた3人はとても満足げな顔だった。

「良かった。玉藻お姉さん、少し取り置きしているのであとで食べてください」

「ありがとうございますっ!…ああっ、養いたいっ!私バンバン働きますよ!?」

「今はここを守っていてくださいね?」

「はいっ!」

「「うわぁ…」」

 いや、何故引くの?



 マイヤとリムネーがいないので念のためにと変装をする。

「まあ、完全に姿が違うのはこれしかありませんが…」

 悪役令嬢風のあの変身セットで。

「お姉様!」

 抱きつこうとする佑那の額に短鞭を軽く当てる。

「えへへ…」

「…隊長殿が壊れた…いや、元からか」

「ダメダメな子ですわね…さあ、いきますわよ」

「えっと、お姉様どちらへ?」

「行き付けの和菓子店ですわ。少し買った後で予約をお願いしようと思っております」

 板額がピクリと反応した。

「お嬢様、急ぎましょう。配信時間の件もありますので」

「ええ、そうね。そこの偽装タクシー、こちらへ!」

「「ちょっ!?」」

「公安さんなので問題ありませんわ」

 わざわざ待機しているという事は乗れって事ですから無論乗りますわ。

「…あまり偽装やら公安と言わないでいただきたいのですが…」

「善処しますわ!」

「はぁ…どちらまで?」

「マンション近くの商店街近くにある和菓子店までですわ」

「了解」

 タクシーが動き出した。

「…板額さん。もしかして、私、いつもあんな感じで振り回してる?」

「程度の違いはありますが、そうですね」

「…ごめんなさい。少し大人しくします」

「是非そうしてください」

 一路目的地まで走り出す。

「合衆国からの連絡は来ていますか?」

 運転手が私に問いかける。

「佑那狙撃の件であれば来ていますわ」

「その後についてはどうですか?」

「いえ、来ていませんわ」

 その後?

「…狙撃を行った者は熱心な巫女信者だったせいか、一瞬我に返り自殺を図ったそうです」

「ありがちなシナリオですが、事実確認は?」

「本当のことのようです。あちらとしても闇に葬ったら怪しまれるのと、神々に即リークされるので始末という愚は起こさないかと」

「…自死ではありますが紛れもなく邪神の犠牲者。その方が無事に天へと旅立てるよう、話を通しておきますわ」

 私に出来るのはその程度ですから。


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