1068話 おぜう御一行和菓子を買いまくる


 タクシーが志堂菓子店に到着したので降りると運転手が「お待ちします」と言ってきたのでOKを出す。

「お姉様…現実で「よくってよ」って初めて聞きました…」

「あらそうですの?」

「中の人が兄さんのはずなのに違和感が無いのはどういう事なんだろうと」

「私的には違和感しかありませんが?」

「本人が違和感あって周りは違和感無しという違和感…違和感仕事しろ」

 板額、言うようになりましたね…


 店内に入るとお婆様がこちらを見て少し驚いたような顔をしていますね。

「御機嫌よう。買物は大丈夫でしょうか?」

「ええ、いつも通り買っていって頂戴ね」

 そう言ってお婆様は微笑む。

 ───いつも通りという言葉はスルーさせて貰いますわ!

「では、佑那、板額、お好きな物を買いなさい」

 私の言葉と同時に2人が手早く店内の商品を…板額…ぼた餅を見て感動しないで欲しいのですが…

「掻い餅が、掻い餅があります!」

「買いなさい。後で皆で食べるのです」

「分かりました!済みません!これを全っ」

 板額が佑那にグーで殴られていた。

「甘葛で作ったわけではないから爽やかな甘さとはいかないけれど、美味しいわよ」

 やはりお婆様は凄いですわね…さて私も…


 万単位の買物をしてしまいましたわ…序でに注文も。

「姿を変えてまで来てくれてありがとうねぇ…」

「いえいえ。では明日、前に来た代理人が受け取りに伺いますのでよろしくお願いします」

「ええ、毎度ありがとうございました」

「…ナチュラルにお土産を持たそうとしないでいただきたいのですが?」

「孫に渡すような物よ?」

 私、このお婆様には勝てないですわ。

 お礼を言って店を出る。

「何と言いますか…良い、ですね」

「こういった人達がいるからこそ日常を守りたいと思うのは分かる気がします」

「全ての人が善人ではなくても、あのような方々が居るというのは救いです。その事を頭の片隅に置いておきなさい」

「「はい」」

 タクシーに乗り込み、マンションへ向かうよう指示を出す。

「しかし…お姉様、あのお婆さんに何かしましたか?」

「夫婦共々健康を祈念しただけですわ。この和菓子を失われるのは損失ですもの」

「そこまで入れ込みます?」

「神々の好物でもあるのですよ?」

「「………」」

「外国の神々から注文を貰うレベルで」

「板額さん、オマケで貰ったどら焼き、今食べよう!?」

「そうですね!」

「板額…貴女までジャンヌのように佑那からポンコツ病が罹患しているのね…」

「!?」

「兄さん!?私ポンコツでは…」

「貴女はポンの子ですわ!」

「……はい。ポンの子です…」

 項垂れる佑那をそのままにマンション前に到着したのでタクシーから降り、全員で「うわぁ…」と思わず口にしてしまいましたわ。

 和菓子愛好会な神々がスタンバイしているのですが…日本以外の神様方もいらっしゃるのですが…どこからその情報は流れたのでしょうね?

「情報漏洩は厳罰ですわね…その方だけは和菓子無しという事で…」

「ごめんなさいっっ!」

 ゆるお姉様、毎度のオチ要員ご苦労様ですわ!


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