4話 TS化した僕はヒトコワ?を知る

「結婚してください」

 医療班のスタッフブースに着いた瞬間に挨拶もなしに掛けられた第一声がコレです。

 しかもこの告白してきた人、別部署の主任です。

「うちの部署の元マスコットを狙うとはねぇ…せめて所属長である私を倒してからにして貰おうか」

 あ、課長が来た。

 あ、主任が逃げ…捕まった。

「らめぇ!腕はそれ以上曲がらないのぉおおおおおあだだだだだだだだだ!!」

「おーい、宮麻。広報課に此奴を連れて行ってくれ」

「畏まりました!おら、キリキリ歩きませい!」

[課長、おはようございます]

「ああ、岩崎おはよう。無理せず今日まで病院にいても良かったんだぞ?そのために巽を病院に…巽はどうした?」

[巽さんは病院で手続き等をしているはずです]

「何かあった…暴走したんだな?と言う事はまさか、家に帰ったのか?」

[暴走してました。あと、家には帰らず真っ直ぐここに来ました]

「戻っていないんだな?家には」

[えっ?はい。何かあったんですか?]

「管理課の数名がお前さんの家へ突入かまして連行されていった」

 ……はい?

「職業摩耗による肉体変化に興味を持った研究者一名。食堂でその姿を見て一目惚れをして家に盗聴盗撮の機器を設置しようとしたヤツが二名。一班に捕縛されたんだよ。今朝の事だ」

[うわぁ……]

「あと、病院に突撃かけようとした研究者はその場で殴って止めたから安心しろ。巽をそっちへやったのは念のためだ」

[流石課長です]

「ただなぁ……職員の個人情報を抜き出した連中がいる以上、組織としては色々調べなきゃならん。そして岩崎、あとで部長含め上の連中から詫びがあるはずだ。その時に慰謝料しっかり取ってくれ。弁護士通しても構わん」

[課長がそれ言っちゃうんだ…]

「組織云々の前に人としてやってはいけない事があるだろう。これも組織の授業料だ。個人情報を簡単に抜き出せると同時に周辺に漏洩させる事の危険性を致命傷を負う前に体験できたのだからな」

[でも被害届出せないですよね?未遂で僕が知らなかった以上は]

「微妙だな。ただ個人情報の漏洩は確かだから取れる物は取れ」

[課長男前です。女性ですけど]

「お前さんが男のままだったら婿にしたかったのにな」

[その本気か冗談かギリギリの所攻めるのやめてもらっても良いですか?反応し辛いです]

「世間話はこれくらいにして、今日はここで待機だ。昨日の今日で何が起きるか分からないからな。スキル含め自分を見つめ直す事に充ててくれ」

[はい!]



 お昼です。午前中は10時以降が激動でした。

 お偉いさん方複数に謝られた挙げ句、お金とセキュリティのしっかりとしたマンションの手配及び引っ越し諸々の手続きもやってもらう事になりました。

 しかも新しいマンションの部屋は僕の名義で、税金関連は来年に関しては協会側で負担するとの事。

 あと、お金に関しては一千万円とのことで、税金がかからないように手配をして口座に振り込むらしいのですが、よく分からないのでこちらが不利益を被らないのでれば全てお任せいたしますと投げ、会議室を出ました。

 ただ、課長に会議室での話をしたところ、マンションの詳細を聞いた途端に凄い形相で会議室へ怒鳴り込んでいきました。

 扉が閉まる前に事故物件を押しつけるなんてどういう了見ですか!とか聞こえたけど、何のことだか…


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