792話 そんな事より聞いてくれよ
「兄さん兄さん!私誘拐されかけちゃった!」
佑那がニコニコしながら神域に飛び込んできた。
「ちゃんと渡した痴漢撃退スプレーは使った?」
「殴ったら裂け目ごと消滅したの。結界まともに稼働してる?なんか不安になるんだけど」
あー…佑那の所にも出たのか。
「めっちゃキーキー煩かった!」
───良かったね、佑那。修行の成果でてるよ!もうワンランク上の修行、がんばろっか!
「アレは仕方ないと思うよ?一点に凄い負荷を掛けてこじ開けているっぽいし。ただ、結界はそれを越える勢いで修復しているからエネルギーが枯渇しない限りは大丈夫だと思うよ?」
「……それはそれで大丈夫なの?」
「さあ?」
前に買い置きしたインスタントコーヒーを作り、佑那に差し出す。
佑那は砂糖に視線を向けたが、何も言わずに口を付けた。
「というよりも、兄さん何でその事知ってるの?もしかして、出た?」
「うん。外出時には変身しているから僕ではなく兄さんだと思ってそうだけど」
「えっ?もしかして撃退したの?兄さんが?」
「持っていた家の水を掛けた」
「うわぁ…」
「「うわぁ…」」
佑那とゆる姉様方がどん引きしてしまったんですが?なんで?
「兄さん、それは反則だと思うんだ」
「いやいや川の水じゃなくて家の水だよ?」
「ちょーーーーーっと見せてもらっても?」
ミツルギ姉様が怖いもの見たさといった感じで言ってきたので件の水を取り出して見せた。
「……佑那ちゃん。これ、飲んでる?」
「まあ、なんとか飲めますけど…結構辛いですよ?あ、でも料理の場合はそうでもないです」
「普通に人間の領域突破してるわね…この水を一般人が飲んだら浄化されすぎて廃人よ?」
呆れたように言うミツルギ姉様だったが、佑那は何故か喜んだ。
「やった!これで兄さん達とずっと一緒!」
「寿命に関しては何とも言えないわよ?」
「あうっ…上げて落とされるとは…」
「まあ、もう一段上に行かないとね…」
ゆる姉様も苦笑しながら佑那の背中を叩く。
多分肩まで手が届かなかっただけだと思う。
「うぬぅ…命のストックも少しあるから鍛錬あるのみです!」
「「……」」
「えっ!?なんでそんなしょっぱい顔してるんですか!?」
「命のストックとか言っている時点でもう人間じゃないよ」
「もう岩崎家何でもありが過ぎないかな?」
「この件に関してはみゃーこの金桃が原因ですから!」
「「……アレが住み着いて問題の無い世界を創った時点でファンタジー」」
ハモるほど!?
「───あ、そうだ。オフィスをここに構える件OK?」
「はい。そういったものは一言戴けたらあとはご自由にどうぞ。僕が聞かれたときに答えられないのが怖いだけなので…」
僕の台詞にゆる姉様が変な顔をした。
「君のマンションなのに?」
「限度を超える様なこと、しませんよね?」
「しないよ!?」
「であれば問題無いです。口裏合わせが必要な場合があると言うだけなので」
「……ゆーちゃん。だから聖女とか慈母判定なんだよ?」
いや、それそういった場面で使う言葉や称号ではないですよね?
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