620話 ゆーちゃん教国と、神国イ・ブラセル
「ゆーちゃん教国完成したよ!」
食事の席でちょっと訳の分かんないことをゆる姉様が言い出した。
「冗談でもそんな訳の分からない名前を外部に出さないでくださいよ?」
「名前自体は神国キュワキウィサにしようかと」
「止めて!?あからさまに僕の名前弄っただけですよね!?」
「むー…神国だけじゃ嫌だから……何かテキトーに付けて?」
「僕!?ノアとかは色々言われそうだし、シャンバラとか桃源郷、ムーも違うし…うーん…神国マグメルとかイーハトーブとか?」
「マグメル?」
「確かケルト神話に出る死者の国とか常若の国ですが…イ・ブラセルとかいくつか呼び名があったと思うんですが」
でも死者の国って…不吉かなぁ
「じゃあ神国イ・ブラセルで良いんじゃない?」
ゆる姉様がそう言い、他の神様方も「どうせ神国としか言わなそうだし、何でも良いと思うよ」という意見だったせいもあって簡単に国名が決定してしまった。
いや、本当に止めて!?
「えっ!?ゆーちゃん教国は却下だったの!?」
佑那に神国の話をしたらかなりショックを受けたような顔をした。
「……まさかだと思うけど、ゆる姉様方に吹き込んだの、佑那?」
「違うよ!?流石にソレは違うよ!?」
「ソレは…ねぇ?」
「っ!?」
墓穴を掘ったという顔の佑那を問い詰める。
「教国案は私が出しました!」
「いい加減にしてよ?足つぼマッサージ10分の刑するよ?」
「私健康体だから足つぼマッサージ大丈夫だよ?」
「いんにゃ、姿勢が一部崩れているから痛い箇所はある。あと微妙に食生活が崩れていたでしょ」
多分佑那の友達が佑那の好物を作ったり家に来て色々したんだと思う。
微妙に肉類への偏りが…んっ?
「兄さん?」
「……なんで僕は佑那を見ただけでそこまで分かるのかな?」
鑑定眼とかではない…まさかこれ、権能の一つ?
───まあ、いいや。
「話を戻すけど、とりあえず神国イ・ブラセルと言うことになったから」
「なんだか中学二年生的な名前だね」
「だって神国だけじゃ嫌とかいって僕の名前入れ替えたりして国名にしようとしたんだよ!?」
「……まあ、神国だけじゃ駄目って言うなら仕方ないかなぁ…うん」
佑那が目を逸らしながら…待て。
「まさか、佑那?」
「キュワキウィサ教国の案を出しました」
佑那は足つぼの刑20分に処した。
ゆる姉様に呼び出されて神域に戻る。
「ゆーちゃんが何も聞かないし突っ込まないので説明します!」
そう言ってゆる姉様が僕をあの扉の前に立たせる。
「この扉が神国に続く扉。そして入ると人間は入国審査があります!」
「神様は?」
「新規の神以外はチェックは受けるけど審査パス。ただ、島外への転移等は封じているよ」
まあ、それはそうですよねぇ…
「えっと、僕は?」
「岩崎兄妹は完全フリーパス」
「いや、ソレは贔屓が過ぎるかと」
「騒ぎになるし」
ならないと思います。
「他にもいくつか規則とか法を用意しているけど…多分各国が求めるモノは輸出入商品だと思うんだ」
「そうですかねぇ?」
「武力云々は諦めていると思うし。で、神造ダンジョンの話も出したから察しは付いている人間も多いと思う」
え?何を?
「神国は特殊ダンジョンを3箇所用意するよ」
「えっ?」
「鉱物ダンジョン、回復薬ダンジョン、そして退魔アイテムダンジョン」
?
「それだけに特化しているという事ですか?」
「うん。鉱物ダンジョン以外は採掘が出来なくて戦闘と宝箱での獲得のみ。回復薬ダンジョンは獣などの通常モンスター系で、退魔アイテムダンジョンは疑似妖怪が出現する感じ」
ほーん…
「それらを採掘なり獲得して輸出アイテムにすると?」
「それらも、ね。全部毎月一定数私達が税金代わりに神国に渡すからソレを輸出すれば良いよ思うよ?あと食料」
ゆる姉様が色々考えてる…
「問題は、代表者を誰にするかなんだよねぇ…岩崎兄妹内が一番なんだけど」
「あ、じゃあ姉さんで」
「姉さん?」
アレ?僕、姉さん紹介しなかった?あれ?
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