102話 晩餐~畏縮と恐縮は無しでお願いします
なんとか作り上げました。
皆さん席に着き、前菜の大根のサラダから…
「これ、ちょっと和食テイストに出来ない?」
せお姉様ぁぁぁっ!…予測済みですが。
少し冷ましたご飯をミニどんぶりによそってせお姉様の大根サラダを上にのせ、ポン酢を少々。
「えーっ…」
どうぞ。
「あ、普通に美味しい…」
では二皿目…マルゲリータです。
ウォーミングアップは十分と神々の(低レベルな)戦いが始まった。
「…ええー?」
「まあ、姫様の愛情が籠もった食べ物ですから奪い合うのは当然ですね」
「いや、奪い合うのは当然では無いだろ…」
「美味しい…あんなに忙しそうに動いていたのに、想いが籠められている…」
[はい次メイン二皿一気に出しますよ~]
戦 争 激 化
「燃料投下とは…流石姫様」
「いや、お前、これは反則だろ!香りが凄いぞ!?」
「姉さんの作った料理美味しい…」
「サルティンボッカ…皆さんそんなに食べていませんね…ちょっとショックです」
[あ、大丈夫ですよ。魚介類から肉へと順番と言うだけなので]
「そっ、そうですか?」
「なんでこの女神様自信ないンスかね…」
「心身共にボロボロだったからでは?」
マッシュポテトも順調に減っているし…アッフォガートを作る準備するかなぁ…
「手伝うッスか?」
[大丈夫。タイムさんもちゃんと食べて?]
「でも師匠だけ動き回って…」
[ちゃんと食べて味を確認するのも修行だよ?]
「師匠が格好良すぎて辛いっす…」
コーヒーカップにアイスクリンを入れて、エスプレッソをその上から入れて…香り付けにアメリカンホワイトオーク樽熟成の後にフレンチオークのカルヴァドスXOの樽に入れ替えて1年以上再熟成させたこのウイスキーをちょい足し…
メレンゲクッキーも添えて出す。
「おかわり!」
[デザートおかわりって…まあ、ありますけどね]
と、言った瞬間に全員がこっちを見た。
はいはいはいはい…ありますから…
終わった…今日買ったワインも全部無いし…つくった料理も全部ない。
あと、僕の分も無かったりする。
そのためのご飯でもあるんですけどね!
さてお茶漬けでも食べるか…
「えっ?師匠の夕飯ってそれッスか!?」
[そうだけど?]
「いや、えっ?自分の分取っておかなかったんッスか!?」
[うん。僕、イタリアンってそこまで…それ以前にアレを取り分けるのは無理]
「あー…一緒に食べられていなかったッスからねぇ」
[世のお母さん方は大変なのです!
追加であれこれ取ったりおかわり対応だったり…あ、そういえばウエスタ様は?]
「伊邪那美様とアディエーナ様に連行されていったッス」
連行て…悪いことしてない、よね?
[珍しいタッグに…何かあったのかな?あ、キュウリの一本漬け美味しい]
「師匠、幸せそうに食べるッスね…」
[幸せだよ?みんな美味しそうに食べていたなぁ、とかウエスタ様少しは元気になって良かったなぁ、とか…
そんな事を思いながら食べると幸せも一緒に食べている気がするんだ]
「なんでこの人こんなに聖人なんッスか!?無償の愛は神でも無いッスよ!?」
[家族に夕ご飯作るのは普通だよ?]
「っぐ…自分も、家族ッスか?」
[え?そりゃあ勿論だよ。今この神域にいる全員大切な人だよ?]
「家族と言いながら自分だけ粗食ッスよ?」
[今回はね。純粋に自業自得だし。あとは、これ]
プライベートボックスから一皿の料理を取り出す。
「えっ?もう一品作ったんッスか!?」
[兄さんの分、お夜食にってね…まあ、簡単チャーハン一人前だけどね]
苦笑する僕にタイムさんは居住まいを正し、頭を下げた。
「師匠…自分、師匠の負担にならないよう、これからも頑張りますのでご指導お願いします!」
[えっ?うん。よろしくね?]
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます