628話 皆で収穫と、事情聴取


 皆を待つ間にサクッとストックしてあったクッキーの詰め合わせを課長に送った。

 その後総勢9人の大所帯で果物狩りに行き、色々収穫する。

「…本当に、楽園ですね」

「季節無視で最高の果物を自由に食べられる…これほど贅沢なことはありません」

 神兵さん達が感嘆の声を上げた。

「食べに来ても良いんだよ?」

「あまり頻繁に来るとありがたみもありませんし、偶に来させて戴きます」

「あ、佑那は暫く呼ばないでくださいね?」

『ハイッ!』

 全員が頷いた。


 2時間ほど収穫や食べ比べをして最後皆でお礼を言って屋敷へと戻ってきた。

 前に行った時よりも規模が大きく、量も増えていたんだけど…まあ、うん。

 全員満足げだし良いかな?

『パパ、何を作るの?』

「んー?…ジャムを作りながらフルーツタルトとか、フルーツパリブレストとか、練り込みシフォンケーキも良いかなぁ…みかんも色々あったし、ゼリーやフルーツプリンとかも…皆よだれヨダレ」

 聞いていた全員が僕を見ながら呆けた顔をしている。

『お父様、すぐに作りましょう。お手伝い致します』

「ありがとう。これから作るからよろしくね」

 もの凄く気合いの入っているリムネーに苦笑しつつ台所へと立つ。

「まずは各種ジャムを作ろうかな…瓶は」

『大きめの瓶あるよ!』

 マイヤがテーブルの上に4つの瓶を取りだして置いた。

 うん。大きいな。

 ジャム瓶って、少し大きめで500とか750ミリリットルくらいだと思ってたんだけど…これ、保存瓶だよね?1リットルサイズと2リットルサイズの。

「よぉし、杏ジャムとイチゴジャム、ベリージャム、みかんジャムを皆で作ろうか」

『!!』

 その台詞にマイヤ達だけではなく神兵さん達も笑顔になった。

 これは瓶足りないぞぅ?あとフルーツ足りる…な。うん。キロ単位収穫だったし。

 皆でワイワイ楽しみながらジャム作成に勤しんだ。



 SIDE:佑那


 捕まった。

 神様方に、だけどね。

「佑那さん、ゆーくんを何とか説得して欲しいのです…」

 ミツルギ様がもの凄く疲れた顔をしているんですけど、兄さん何かしでかしたな?

「島にゆーちゃん用の神社を建てたらゆーちゃん怒って引き籠もる宣言しちゃったんだよ!」

 あっ、それは…やっちまったなぁ!?

 いやまあ兄さんが神になったのは分かるし、その必要性も分からないでも無いけどさぁ…マズイでしょ。

「うーん?ちょっと難しいですね…ただでさえ目立つのが苦手な兄さんがふて腐れてしまったって事ですよね?」

「まあ、そうですね」

「ふて腐れた…そうだね」

「一目見ただけで兄さんの神社だと分かるような感じですか?」

「いえ、それは細心の注意を払っていますよ」

「えっ?私ちょっと弄ったけど」

「「えっ?」」

 嫌な予感がするんですが!?

「巫女にゃんこ2体が狛犬のように出迎えて…」

「「アウトオオオオオオオオッッ!」」

 私とミツルギ様が叫んだ。

「他に弄った所は!?」

「えっ?…鳥居に巫女神神社って」

「………全面改装しないといけないのね。もうユルだけ怒られて…」

「ですね」

「なんで!?」

「本人が嫌がっているのに何故そんな事やるの?」

「喜んでくれると思って」

「いやだから嫌がっているんだけど!?」

 ああ、そうか。神様の感覚と人間の感覚が違う…いや、ミツルギ様は把握しているんだけど…うーん。

「明日一日で完全に改修するわ」

 ……ミツルギ様、お疲れ様です。


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