627話 天岩戸と、すれ違い


 午後も普通に仕事をし、定時になったのでお仕事を終えて神域へと跳んだ。

 神域に入ると神様方があちらこちらでグッタリしていた。

「うわぁ…急いでお夕飯作りますね」

 この後無茶苦茶お料理作った。


「うにゃぁ……疲れたぁ」

「ご飯食べて落ち着いたよ…」

 ゆる姉様とせお姉様がご飯を食べた後で漸く人心地ついたように息を吐いた。

「もしかして直前まで作業をしていたんですか?」

「うん。更に言えばセレモニー後どころかさっきまで作業していたよ…」

「皆でね」

「ぇえー?」

 何その突貫工事。しかも神様方の突貫工事って凄くない?

「とりあえず町は作ったし、神社も神殿も作ったわ」

 神様が作る神社と神殿……御利益どころの話じゃねぇ!?

「あ、ついでに教会も作りましたよ」

 もう完全に───

「神社はゆーちゃん神社と私達の総合神社があるから!」

「待て(真顔)、待て」

 なんで僕の神社!?意味が分からないよ!?

「えっ?あっ、ゆーちゃん自分で作りたかった!?」

「いや逆逆!なんで僕の神社があるの!?」

 まったりしていた神様方が全員こちらを見る。

 それは「本気で言ってるの?」という顔だった。いや本気だよ!

「だって良いって言ったんだよね?」

「別プランがあるとも聞きましたけど!?」

「うん。5箇所作る予定を1箇所にした結果よ?」

「………………箱庭に引き籠もろうかなぁ…」

 いやマジで。マジで。

「ゆーくん!中央神社という事で『誰の』神社なのかは一切言いませんので!」

「ゆーちゃん!流石に今から壊すのは町どころか島全体の計画を全部白紙にしないといけないんだよ!?それに引き籠もる理由はないよね!?」

 ミツルギ姉様とゆる姉様が騒いでいるんだけど聞こえませーん。

 よし。数日引き籠もろう。

 僕は何も言わずに箱庭へと転移した。



「あ、課長。今宜しいでしょうか」

『どうした?何か問題でもあったか?』

 課長の気遣わしげな声が聞こえる。

 何度も休むのは少し気まずいかなぁ…

「あの、1~3日程休ませて欲しいのですが…大丈夫ですか?」

『…ああ、うん。あんなことがあったんだ。相手に分からせるという意味でも仕方ないだろう…許可する。幸い岩崎の有給は結構あるからな』

 課長から許可が下りた!?

 ただ、何か勘違いされている?

 …うん。でも、ま、いっか。

『ただ、いつでも電話に出られるようにしておいて欲しい』

「分かりました!あ、課長、クッキー要りますか?」

『岩崎のクッキーか?勿論』

「あとでメッセージに添付して送りますね!」

 賄賂じゃないけど。賄賂じゃないけど!

 通話を終える。

「さて…とりあえずお菓子作りをしよう」

 普通のお菓子と、完全箱庭全盛りお菓子を作ろう。

 楽しみだなぁ…あ、皆でプリンとかアイスクリームとかも良いかも!

 よぉし!一ヶ月分くらい作るぞぉ!

 半日かけて全力お菓子作りだ!

 そうと決まれば…収穫だぁぁ!

「マイヤ、リムネー、いるー?」

『『はーい!』』

 2人が飛んできた。

「これから皆でお菓子作りのための収穫に行こう!」

『うんっ!』『ハイッ!』

 うん。良いお返事。

「他にも参加してくれる人がいたら皆で行こうか?」

『マイヤ呼んでくる!』『私も行きます!』

 そう言って2人は参加者を募りに飛んでいった。


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