870話 やだやだやだやだ!(全力拒否)


『パパ、この衣装着てみて!』

 マイヤがチアガールの衣装を僕に渡してきた。

 ───佑那。どんなミラクルをしたらマイヤがこうなるのかな?

「…何でマイヤも僕をいじめるの?」

『あのね?これは皆にガンバレーガンバレーっておうえんする服だからって』

 確かにそうだけど、僕は着たくないの!あっ、涙が…

『!?パパごめんなさいマイヤが、マイヤがかわりに着るから!』

「マイヤゴメンね…パパこれ着たら多分色々終わっちゃうから…ゴメンねぇ…!」


 SIDE:巽


 道のど真ん中に小規模だが建物があった。

 私と私を送迎してくれている部隊全員がその建物の前に立ち呆然としていた。

 部隊が動こうとしたとき、扉が開き中から藤岡課長が出て来た。

 向けていた銃を慌てて下ろし、部隊全員が敬礼をする。

「ああ、到着したんだな。目視確認、巽で間違いない」

『では、施設解除する』

 声がしたかと思ったら今まであった建物が淡い光を発し消え、そこには20名あまりの軍人達と会った事のある人物…確かメリア殿といったか、彼女が立っていた。

「送迎ご苦労。私は巫女様の救命師団に所属しているメリア・ルー・アルメリア外務司令武官だ。巽殿は確かにこちらに合流確認した。貴殿らは「前方120メートル、敵部隊17名」光の掃射ラン・デミュ!…失礼、現在攻撃を受けながらの進軍故早めの帰投をおすすめする」

 メリア殿は部隊員達に自己紹介等をしながら接近してきた敵に対して即座に光の槍を降らせて相手を鎮圧してみせた。

「でっ、では、帰還に関してですが───」

 送迎部隊の部隊長が今後の日程を語り出したところでメリア殿が待ったを掛ける。

「ああ、それは必要ない。ここの座標ポイントは確認した。巫女の誓約で我々は勝手に世界中何処にでもすぐさま移動出来るというわけではない。

 今回は藤岡、巽両名の移動と共に転移基準点を構築しこうやって我々が転移出来るようになった。

 両名の帰還方法に関しては任務が終わり次第こちらで部隊共々日本へ転送するので気遣いは無用だ」

 送迎部隊がざわつく。

 しかしここでなんだかんだ言って話を拗れさせるのは得策では無いと判断したのかそれ以上言うこと無く部隊は撤収を始めた。

「───さて、2人とも無事に着いたわけだが、妨害はあったか?」

「いえ、特にありませんでした」

「神国テリトリーの近くを通っていたので妨害しようが無かったとも言えるッスね」

 私の影から姿を現したタイム殿が現れ、メリア殿に白銀色の結晶体を手渡した。

「ご主人が念のために持っておくようにって言ってたッス」

「…よく保管出来たな。新しい危険物だろ」

「まあ、ご主人の側にずっと居たら多少は我慢できるッスよ」

 タイム殿は苦笑しながらそう言って下がる。

「よし、これより護送を開始する。ここから先は防御をしながらのサーチ&デストロイだ!移動準備を!」

 そのかけ声と共に別の部隊員が現れ、一台の大型車を召喚した。

 ああ、この車は見た事がある。前に姫が狙撃された際乗ってきた車だ。

「行くぞ巽」

「はい」

 このミッションが終わったら、私は───


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る