871話 にゃーす服では断じてない。
「なんで男の姿でナース服なの!?」
「癒しを求めてのことです」
「もしかして出だしの”癒やしちゃうぞ☆”のために!?それ以外はポップな元気ソングだよ!?」
「セイクリッド☆ナースとタイトルが付いているので仕方ないかと」
「みゃあああああああっっ!!!」
SIDE:藤岡・巽
「…確かに漆黒」
「……」
2人はただ絶句していた。
恐怖を感じるほどの漆黒の壁。
そしてそこから時折出てくる黒い兵士達。
しかしその兵士らは即座にメリアによって打ち倒される。
広い車内で2人はただただジッとその壁を見ていた。
「そろそろ良いッスか?ではちょっと呼んで来るッス」
タイムがそう言ってゲートを開く。
「「えっ?」」
呼んで、来る?
その言葉に2人はバッとゲートの方を見る。
来てくれると信じて。
「いやぁ…このタイミングで期待させて申し訳ないです~」
ゲートから姿を現したのはナース服を着た廣瀬だった。
「「何故その服!?」」
「おー息ピッタリですね~理由は友紀くんに着て貰うために箱庭の全員が色々な衣装を着ているのですよ~現在この服とチアガールを全力で拒否っているので~」
「「!!?」」
その車内に居た全員が廣瀬の方を向いた。
「ああ、はいはい杖剣ですね~」
違うそうじゃない!
と、その場に居た全員が叫びたかったが、全員自重した。超自重した。
廣瀬が虚空から取っ手の部分が豪奢な杖を取り出した。
「えっ?」
「リ〇ルケ〇ン型にしようとしたら神様方に止められてしまったのでこのタイプですが~」
杖剣を右手に持ち左手に何の変哲も無い紙を取り出す。
そして紙の中心部を杖剣に触れさせると…
切れた音すらなく落下の際の振動音のみが車内に響いた。
「杖型ですがそれ自体切れますのでご注意を~…本当は仕込み杖的な杖剣も良いかなって思ったんですけど、リ〇ルケ〇ンの流れでこうしちゃいました!」
ニコニコ顔でそう語る廣瀬に全員がどん引きだった。
「リストバンドの保護残量は私が圧倒的に少ないだろう。だから私が突っ込むが、何かあったらすぐに後ろに投げる。巽、その時は任せた」
藤岡の言葉に巽は険しい表情のまま頷く。
「岩崎のナース服とチアガールコス、最前列で見るぞ」
「……………今それ言うの、卑怯だと思います」
少し泣きそうな顔の巽に藤岡は微笑するとメリアを見る。
「援護射撃を頼む」
「勿論だ。射線管理含め間違いは起こさんさ」
メリアがニヤリと笑い指示を出す。
重装救命官が7人ほど車から出ていき、自身を遮蔽物にするような位置取りを行う。
「念には念を入れてだ。もしこれが破られた場合、全力防御態勢で車を突っ込ませるしか手はない。それは全滅前提なのでやらないが…さあ、行け」
藤岡は車から降り、一番近くに居る重装救命官に向かって走る。
その時だった。
トヒュン
ナニカオトガシタ。
最前列の重装救命官が吹き飛ばされた。
トヒュン
マタオトガシテ、マタトバサレタ。
トヒュン、トヒュン、トヒュン、トヒュン、
次々と聞こえる音。
そして吹き飛ばされる重装救命官。
漆黒の砲弾ですら受け止め、弾いていたのに───
トヒュン
最後の1人…吹き飛ばずに耐えきった。が、盾はひしゃげ明らかに2発目は保たないと分かった。
同時に
藤岡は前へと駆けた。
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