64話 TS化した僕の同僚は胃を痛める
「姫!?」
頽れている僕に巽さんが慌てて駆け寄ってきた。
[巽さん…ゆる姉様が、該当国の大使館全員にダイレクト神託メッセージ送ったって…]
「………」
ダイナミックお邪魔します方式ですやん…
「関係各所に電話してみます」
巽さんは慌ててどこかに電話を掛ける。
「…はい、はい…いえ、そのメッセージ送信先自体が…はい」
相手方が大分興奮しているようだ。
僕はソファーに座ってボーッとする。
凄く有効な一手かも知れないけど、相手方パニックに陥ってるよ…
巽さん、英語でしゃべり出したし…
───シンプルな部屋。生活感があまり無い部屋。テレビも無い。時計もない。もしかすると寝室にならあるかも?
ボーッと巽さんを見る。
通話を終えてまた通話を始めた。今度ははじめから英語だ。
今度ははじめからヒートアップしているっぽい。
あ、なんか論破したっぽい。
「…ふぅ…」
通話を終えた巽さんは───着信あり。また通話を始めた。
負担凄いよね?伊都子さんはどうしたんだろう。
「───頼むから外務省に回すか伊都子に回して欲しいんだが…」
通話が終わったのか巽さんがそう呟きながらスマートフォンをしまい、
また着信音が鳴った。
「……」
チベスナ顔でこっちみんな。
[お疲れ様です…]
「ありがとうございます。伊都子に振ろうとしたのですが、彼女は神社庁からの緊急呼び出されてしまいまして」
[神社関連ですか?]
「はい。幾つかの神社で突如神霊のお力が強くなったと」
[それはせお姉様の仕業です…うちの兄さんもですけど]
「何かあったのですか?」
[説明すると長くなりますが…]
~~~兄さんのやらかし説明中~~~
「………岩崎結羽人様は、存じています。が、そこまでの方だったとは…」
[まあ、うん。常識の範疇外な兄さんだとは思ってもみませんでした]
「では、その道具のおかげで祓戸の大神をお祭りしている社及び祓戸社のある場所が強化されたと」
話を聞いた巽さんはなんだか疲れた顔で唸る。
[簡単に言えばそうなるかと]
「これは、急ぎ連絡をした方が良いでしょうね」
[うん。なんかごめんなさい]
「いえ、少々お待ちください」
巽さんがどこかに連絡する。
そして二言、三言話をして通話を終えた。
「やはり祓戸様が関係している所が強化されているようでした」
[ですよねぇ…まあ悪い事ではないので良いとは思いますが]
「確かにそうなのですが、他国の状況からすると…」
[えっ?そんなに酷いんですか?]
「はい。あまり公にはされていませんが、呪具の処理含めかなりの被害が出ています」
[日本よりダンジョン先進国じゃないの!?武力で何とか出来るって…まさか現代兵器のみのごり押し!?]
「8割そうですね。2割は聖職者関連が動いていますが…圧倒的に人手と練度が足りないという話です」
[何年経っているから練度が足りないんだろう…]
「…ある国では職業摩耗率が高く、最短9ヶ月という記録がありますので」
練度以前にごり押し結果が最悪な件について。
「その事件以降一極集中ではなくシステム的に行っているようですが…」
[日本もあんまり変わらないからねぇ…]
「回数制限を想定して工夫した人の方が摩耗ではなく進化していますから…」
揃ってため息を吐く。
問題の件は大丈夫?
「あ、はい。お手数をおかけいたしました」
[あと、最後の爆弾があるのですが…]
「………えっ?」
[兄さんが、換金して欲しいって僕に渡してきた物があって…]
「…はい」
[マジックバッグごと渡してきたんですけど…量が洒落にならないほどあるらしいので、明日、協会で大鑑定大会を行いたいと思います…]
「……分かりました。関係各所に連絡をし、明日朝からその処理を行いましょう。下層から深層にいたと言うのであれば恐ろしい品が大量にある可能性が高いですから、協会の教務の一環として行えます。部署は違いますが…」
少し引きつった顔で巽さんが本日何度目かの電話連絡を始めた。
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