63話 TS化した僕は今度こそ兄妹を見送る
コンシェルジュさんにお礼を…いや、あの、拝むのであれば信仰しているお近くの神社仏閣もしくは教会でお願いします。
僕?えっと、僕は神様方のメッセンジャーですので…御使い!?いえいえ!ホントただのメッセンジャーです!
「お疲れ」
「ホント姉さんは信者作るのよね…」
[信者って何?えっ…昔から信者とかいたとか…ないよね?]
「居たじゃない。あ、これ秘密だったのね」
[怖いんだけど!?]
信者って…昔から!?えっ?信者って何!?
「俺等は笑って見守るさ」
いや、兄さん何で半笑いなの!?
[…兄さんは明日も普段通り?]
不安だったけど、少し冷静になって聞いてみる。
「ん?当たり前だろ?あー…そういえばお前経由で換金とか出来るか?」
[えっ?せお姉様とかに渡した物クラスだと怖いんだけど…]
「いや。ポーションとか下層のアイテムが邪魔でな…鉱石や魔石類だけ売っていても既に九千万貯まっていてなぁ…」
[その台詞を言っている時点で世界中の労働者に謝った方が良いと思うよ?]
「ほら」
兄さんはポシェットを僕に投げ渡した。
[えっ?これ、マジックバッグ?]
「ああ。深層品だから結構な量入っている。それがあと三つあるんだが…これで明日からまた詰め込めるな。それと、中身を全部出すならかなり広い所でやってくれ」
イイエガオで兄さんが笑う。
[明日、確認するね]
「ああ換金できたら俺は10%佑那30%な」
[そこは兄さん50%の僕と佑那25%じゃないの!?]
「は?まだまだあるんだぞ?手間賃だ。手間賃」
うわぁ…確認するのが怖いんだけど…
「俺も偶に来るとは思うけど、佑那に渡しても良いから」
まさか自分に流れ弾が当たるとは思わなかった佑那が「ええっ!?」と兄さんを見る。
「お前にもやるんだからそれくらいしろ」
「危ないじゃない!」
「プライベートボックスに入れろよ…」
「あっ…そっか。私、職業…えへへ…」
職業を選べたのを思い出した佑那は照れ笑いを浮かべた。
「じゃ、仕事頑張れよ」
[うん。二人ともお休み]
「姉さん。おやすみなさい」
二人と別れ、僕はラウンジに戻る。
『姫。少しお時間の方、宜しいでしょうか』
エントランスからエレベーターに乗り込む時、巽さんから着信が入った。
[大丈夫ですけど…今から部屋に行きます?エントランスから今エレベーターに乗ったところですし]
『はい。ではエレベーター前でお待ちしております』
───なんだろう。切羽詰まった感じだけど…
自分の階の一つ下を押し、暫く待つ。
巽さんに投げっぱなしだから思い当たるありすぎて辛い。申し訳なさで一杯ですよ?
扉が開く。
「姫!どうぞこちらへ!」
[なんだか慌てているんですが、何かありましたか?]
背中を押されて巽さんの部屋へと入る。
───女性の部屋に背中を押されてはいるって…うん。初めてだなぁ…
そんな事を思いながらも、僕はリビングへと通された。
「申し訳ありません。諸外国に対して神の存在の証明をする件なのですが…」
[あ、うん…その件なんですけど、うちの兄の方からもこことここの二箇所に関しては中央に近いポジションに知人がいるという事なので説明するそうです]
「そう、ですか…」
───何か複雑な顔で頷いているけど、一応続けよう。
[早くしないと神託が降りるというのもあるんですが、下手をすると悪魔召喚が行われ、問題が起きたあとに情報提供をしなかったと外交問題になられても困ると思いますが…
更に言えば悪魔召喚がなされた場合、都市壊滅はほぼ確定との事でしたので、言い方は悪いですが壊滅数分前までに連絡が届いていればあとは相手側の問題です]
ここまで言って巽さんの顔を見る。
「───一応、リストのある大使館へは連絡致しましたが、昨日のアナウンス騒動で混乱しているようでして…」
[アレで多少は信じられるけど、いきなり言われてもなぁって感じですよね…]
───報告は完了しているからあとは相手の問題と言いはしたけど…下手をすると万単位の犠牲者が出るというのであれば、動かなきゃいけないよね…
【ゆーちゃん。ダイレクト神託メッセージを該当国の大使館の全員に送りつけたから心配しないでね!おやすみ~】
膝から、崩れ落ちた。
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