566話 お話と、O・HA・NA・SHI


 本部へ行くなら事前にユルフテラ様へ連絡を入れておこう。

【ユルフテラ様、箱庭でトラブルが発生したので本部へ伺っても宜しいでしょうか】

 そーしん

【ユルフテラ:すぐにそちらへ伺うよ!】

 ちょ!待って!?

「着ちゃ───「Ashes to ashes, dust to dust!」」

「待って!にぃに待ってぇぇっ!」


 ユルフテラ様に事情を説明すると「あー…」と納得したような顔をした。

「確かに、本部報告案件だね。それに僕宛で正解だよ」

 ユルフテラ様の台詞に兄さんが反応した。

「と言うと?」

「以前、領域管理権限証明書を僕が発行したからね!」

 ドヤ顔なユルフテラ様。

 兄さんも納得したような顔で頷く。

「なら、あの件もここの自衛権行使で済むな」

「…まあ、アレはそれ以前の問題だよ。不安だからって引き取ってもねぇ…」

 ため息を吐くユルフテラ様だったが、ミツルギ姉様の方を向く。

「で、問題の神は?」

「一応こちらで措置をしています。こちらが資料です」

 言われることは分かっていたのか、ミツルギ姉様は紙の資料をユルフテラ様へ手渡した。

「───ホント、論外だね。少なくとも今回の儀式に関しては人ではあるが上位の神でもある友紀くんがお気持ちとしてやっていることであってそれにエネルギーをプラスしただけとなっている。

 にもかかわらず、儀式後に不服として無理にパスをこじ開けようとした結果あちらさんの神経脈はズタズタだと。

 知らなかったとしても敵対行動だからねぇ…他の儀式中に乱入した形にもなっている。うん、こちらでも降位含め対応するよ」

「よろしくお願い致します」

 ミツルギ姉様が頭を下げ、話は終わったようだけど…

「さて本題その1。どうしたものかなぁ…外れた権限戻すのってかなり面倒なんだけど、今回のは混線状態だよねぇ…」

 僕を見ながら唸るユルフテラ様。

「いや、許可さえ出してもらえれば俺がやる」

 兄さんの台詞にユルフテラ様は呆気にとられた顔をした。

「は?いやいや、いくら君でもそれは………え?できるの?」

「ああ。今回はここの副管理者権限を掌握しているからな」

「人では出来ないことなんだからね!?権限を渡されてもそれを扱うなんて!」

 あ、やっぱりおかしな事なんだ。

「この世界の情報は読み取った。一度権限を俺に移した後で友紀に移し直せば問題無いだろ」

 ああ、権限を移すことで完全に切り離して、もう一度繋ぎ直すって事なのかな?

「友紀の眷属が2人同じように副管理者権限を持っているから何かあっても数日は保つはずだしな」

 ……んんっ?

 今の台詞から察すると、何か起きるのかな?

「そんなことしたら君は死んでしまうんだよ!?」

「!?」

 どういう事!?

 兄さんを見るけど、平然としている。

「諸々対策済みだ。位階と器の問題だろう?今回に関してはそれらは度外視出来るんだよ」

「そんな事は!」

 ユルフテラ様が強く否定しようとしたが、

「血脈による一時回避措置で位階は一時的に度外視され、。副管理権限者に器は分割される」

「………」

 兄さんの台詞にユルフテラ様は口を噤んだ。


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