168話 出張〜初めての出張・・・同僚と上司二人同伴

 フロアに出ると巽さんが既にスタンバイしていた。

[おはようございます巽さん]

「姫様。おはようございます」

[そう言えば今日、このマンションの改装を行うとのことなんですけど…

 1階以外は全員退去しておいた方が良いと思います]

「改装ですか?」

[はい。ゆる姉様とせお姉様…おそらく全員で好きなように改装する可能性もありますが]

「… 伊都子に至急連絡します」

[おそらくアナウンスがあるとは思うんですけど、巻き込まれないためにも早めに脱出した方が良いかと思います]

「脱出って…」

 うわぁ…って顔の巽さんがレア過ぎて可愛い。

[あと、何か要望があれば僕の方から伝えておきますよ?訓練施設を作ったりするそうなので、大きさ含め神域仕様なのは間違いないですし]

「えっと…少し、少しお待ちください」

 巽さんが慌ててスマートフォンを取り出してどこかに電話をしている。

 いや、こんな時間に電話取る人おるん?

「───巽です。姫様の件で…はい。ビルを神々が改装するとのことなのですが…今日です。今教えて欲しいのですが…いえ、無茶振りなのは承知しています。はい…第二オフィスとして、ですか?規模は…はい。一応伝えておきます。では」

 通話を切り、なんとも言えない顔で僕を見る。

「中務省含めダンジョン絡みのオフィス階を用意できますでしょうか?そこまで大きくなくても良いのですが」

【ゆる:オッケー!今住んでいる階層拡張して作ろうかな。オフィス部屋は後で広げる事もできるし】

[……ゆる姉様が今巽さんが住んでいる階層を拡張して作るらしいですが…]

「…職員が神威に耐えられるか微妙ですね」

【ゆる:ちぇー。じゃあ二階に作るよ。10部屋作れば大丈夫かな?まあテキトーに作っておくね!あと、アレだけじゃ足りなかったでしょ?前話したとおりの物もボックスに入れて置いたから使って…って伝えておいて?】

 いや本人に直接言った方がいいと思いますけどね!?

[巽さん]

「はい。不都合でも…」

[2階に10部屋つくるそうです。あと『アレだけじゃ足りなかったでしょ?前話したとおりの物もボックスに入れて置いたから使って』との事です]

「───畏まりました」

 かなり微妙な顔で頷く巽さんを見て「あ、何かしてやられたんだな」と悟ったものの、特に何を言う事もなく転送ルームへと向かった。



「おはようございます」

「ああ、二人ともおはよう。早速だが…」

[おはようございます課長。何かトラブルですか?]

「私=トラブルとは思っていないだろうな?ん?正直に言ってごらん?」

[そんな事は無いですよ?ただ、何かあるのかと]

 だからほっぺムニムニしないでぇぇぇ!

「ああ。色々なトラブルが一段落しただろ?場所によっては未だ終わってはいないが…まあ、他地区の事だ。と、言いたいが」

 何があるのだろうかと少し身構える。

「今回、特別に。視察と慰労とその他を兼ねて…岩崎、巽、私、そして長谷川部長の四人で一泊二日の視察に行く。

[えっ?困るんで…そう言う事ですか!]

 休めと言われたり、一日出て欲しいって…この前振り!

「そう言う事だ。ちなみに神々へのお土産はうちの経費で落ちる。落とす」

[わぁ…それ絶対駄目なやつぅ…]

「部長が一緒だ。問題無い」

[ちなみに場所は何処でしょうか…]

「京都だ」

[………うわぁ…]

「どっ、どうした!?岩崎がそんな顔をするなんて余程嫌なのか!?

[……いえ、過去のトラブルが怒濤の如く押し寄せてきそうな予感が…]

「…私も、家の柵が襲いかかりそうな予感が…滋賀か奈良の予定では…?」

「二人揃ってか!?中務省から京都の方を視察して欲しいと頼まれてな?」

 今日も、荒れそうです…


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