27話 TS化した僕はお買い物に行く

 食材を片付けてソファーでせお姉様に膝枕+良い子良い子したらそのまま眠ってしまった。

 せお姉様を抱き上げ、ベッドに寝かして僕は次の買い物へ向かう。

 向かうは数年行きつけの和菓子屋さんだ。

 流石にこの格好ではダメかな?

 カジュアルに変更してマンションを出る。

 …なーんか、出待ちしている人が3~4名いるんですけど?

 あ、警官が職質した。しかも複数同時に。

 ───うん。平和だ。とっとと行こう。



 前住んでいた所から歩いて数分の場所にあるその和菓子屋さんは老夫婦で商いをしているこぢんまりとしたお店だ。

 小さいお店だけに品揃えもだいたい基本の4種類と日替わりの10種類程度で、全て売れたらお店を閉めてしまう。

 まあ、残っていても5時には閉めるので週末しか行けなかったけど。

 レトロな引き戸を開け、店内へと入る。

[おじゃまします]

「いらっしゃい」

 お婆さんがレジ前に立って声を掛けてくれたが、

「…あら?」

 僕を見て何かに気付いたように首をかしげる。

 でも僕はあえてのスルー!

 時刻は午後3時を既に過ぎているだけに商品がだいぶ少ない。

 全部買い占めようかなとも思ったけど、今回は数を揃えて買う事にしよう。

[大福とあんころ餅、みたらし団子、揚げ団子、草餅、黒糖饅頭を各4個お願いします]

「はいはい。これと、これ、これ…合計で2592円だね。今準備するから少し待っててね」

 お婆さんはのんびりと商品を詰めていく。

 ただ、ちょっと待って?ラス1商品とか普通にオマケしなくても良いんですよ!?

「はい。2600円からだから8円おつり。ちょっとオマケしたから帰りながら食べなさい」

 オマケが多かった気がするんですけど!?

 慌てる僕にお婆さんはニッコリと笑みを浮かべ、

「いつも幸せそうに買ってくれている子でしょ?今日はちょっと早いけど店じまいだから在庫処分だよ。お友達とお食べ」

 おぉう…何故かバレてる。

 一瞬面食らったものの、しっかりとお礼を言って商品を受け取り店を後にした。

 そしてそのまま数件隣のお茶屋さんに行ってちょっとお高めの深蒸し茶を買って終了!帰宅の途についた。



[ただいま帰りました]

 玄関を開けると奥から「おかえりなさ~い」とゆる姉様が出迎えてくれた。

「今日は大変だったみたいね!色々と」

 うん。色々の部分に力が入っていたね。

[ゆる姉様も大変だったみたいだけど?]

「えっ?ぜんぜん?」

 えっ?

「ぶちのめして送り出したから」

 わぁお…

「それよりもそれ何!?」

[せお姉様が食べたいとの事でしたので行きつけのお店で買って来ました]

 そう言って和菓子とお茶が入った袋を掲げる。

「おやつ!みっちゃん!せっちゃん!おやつおやつ!」

 大はしゃぎしたゆる姉様は大きな声で呼び出す。

「あーっ!ようやく帰ってきた!」

 せお姉様が少し怒ったような感じでやってきた。

[せお姉様。和菓子買ってきましたよ]

「えっ!?もしかして僕が食べたいって言ったから!?」

[まあ、そうですね]

「なんか申し訳ない気がするよ」

[大丈夫ですよ。接待費という事で課長からお金もらいましたし、和菓子屋さんのお店の人からオマケも沢山戴きましたし]

「沢山って、そんなに?」

[まあ、みんなで食べましょうよ。お茶も買ってきましたので]

「僕お茶会初めてだよ!」

 テンションがもの凄く上がっているせお姉様に苦笑しながらお茶の準備を始めた。


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