28話 TS化した僕はお茶会をする
テーブルの上にはそれぞれの手前に六種の和菓子とお茶があり、中央の大皿にオマケが積み上げられていた。
「えっ?これオマケ?」
[真ん中に置いている物は全てオマケでもらいました]
「色気で誑かした?」
[店番はお婆ちゃんですよ!?しかも元の僕をよく知っていた挙げ句なぜだか僕って分かったみたいでしたし]
「まあ、喋りや雰囲気で分かったとかじゃない?よく接している人なら分かると思うし」
まあ、バレたからどうだという訳でもないんですけどね。
「…性別も見た目も変わったのに本人が変わっていないという不思議」
「私達の妹は素晴らしいなぁ」
「…」
不思議な感動をしている姉二人と、一心不乱に和菓子を食べる姉。
せお姉様。どんだけぇ…
あれだけあった和菓子が全部無くなった。
[少しは後で食べようとか思わないのかな!?]
「何でそんなこと言うの!?僕本当に久しぶりの和菓子でとても嬉しかったのに!」
ちょっと拗ねているせお姉様を真顔で見つめる。
[せお姉様]
「何?」
[食べ過ぎです]
「あうっ…」
ゆる姉様やミツルギ姉様が苦笑するレベルですよ?反省して?
[しかし、これは定期的に購入した方がいいですね]
「定期的に食べられるのかい!?」
パァァッと満面の笑みを浮かべるせお姉様。
[僕の行きつけのお店なので特別な所でもないですし。あ、ただちょっと持って歩くのは大変ですけど]
「んんんっ?」
ミツルギ姉様が変なうなり声を上げて首をかしげた。
[ミツルギ姉様?]
「まさか、プライベートボックスを使っていないのか?」
[?なんですか?それ]
私的な箱?
「えっ?でも収納バッグは使っていたよ!?」
「まさかとは思うが、使い方が分からないとかでは?」
ゆる姉様とミツルギ姉様が小声で話し合いを始めてしまった。
「マジックバッグは知ってる?」
せお姉様。流石に知っていますよ。登録名は収納バッグ。通称はマジックバッグです。
「「………」」
あれぇ?何かお二方の反応が…
「あー…それは多分「ダンジョンアイテムの収納バッグとマジックバッグが別物であることと、更にプライベートボックスとプライベートバッグは違うって事を分かってないなこの子」って顔だよ」
───えっ!?
「まあ、そうだよねぇ。説明も何もなかったわけだから」
「あ、でもログ確認したら何名か使ってるよ?」
「特殊機能と思い込んでいるか、知られたくないのか…」
[えっと、すみませんがどういうことですか?]
「簡単に言うと収納バッグとアイテムバッグはダンジョン品であってプライベートボックスやプライベートバッグの模倣品かつ粗悪品って事。更には職業祝福の際にプライベートボックスは全員に与えられている」
そもそもプライベートボックス等が分からない件について。
「ああああ面倒くさい!!!」
僕が頭に?を付けて首をかしげているのを見たミツルギ姉様は吼えた。
「みっちゃんしょうがないって!私達にとっては当たり前でもまったく知らなかった人達からすると手順も何もないし!」
[ミツルギ姉様、なんか済みません…]
「くぅ…すまない。こちらでは常識以前の事だったのでまさか気付いていないとは思わなかっただけだ」
「そこら辺の話をしておかないとまたごちゃごちゃになるかなぁ」
「説明不足だなんだとこちらのせいにしかねないからな。自分たちでできないのに口だけは出してくる…」
やっぱりストレス溜まってるなぁ…
[巽さんか、課長を呼んで広めてもらうとかどうですか?]
「それしかないかなぁ…」
「面倒な事はすぐ終わらせちゃおっか!」
「では祝福の際に与えられる基本的な事を書いておくか」
[僕は巽さんに連絡しておきますね]
「僕はテレビ見ておくよ!」
せお姉様。それ、わざわざいう事かなぁ!?
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