29話 TS化した僕は呼び出しをする
神域を出て巽さんに電話をする。
と、ワンコールで巽さんが電話に出た。
いや、凄いな!?
『姫!何かありましたか!?』
んっ?音が、反響している?
[巽さん。今電話大丈夫ですか?]
『入浴中ですので問題ありません』
[それ問題しか無いですよね!?]
『姫に関する事以外は基本些事です!』
[いや、そこはちょっと考えよう?]
『ところで、トラブルではなく私との会話が目的でしたか!』
[えっと、お三方が祝福システムの基本仕様をほとんどの人が理解できていないからマニュアル渡すって]
『!?重要案件ですよね!?』
[あ、やっぱりそうだよね…]
『すぐに向かいますが、もう一人参加させても宜しいでしょうか』
[巽さんの関係者?]
『従姉妹です』
[イトコさん?]
『はい。このような事態になっておりますので、私の向かいの部屋に中務省より出向しております』
[うん。大丈夫だと思うよ]
『では10分以内に伺います』
[そんなに急がなくても大丈夫だよ!?お風呂ゆっくり入って!]
『問題ありません』
[僕のお願い、聞いて?]
『───畏まりました』
[ついたらインターフォンお願いしますね?]
『はい』
通話を終え、ため息を吐く。
いつから巽さんは僕至上主義になったのかなぁ…おっかしいなぁ…
あと姫違う!
そのまま自分の部屋へと戻り、一息吐く。
せお姉様があんなに食べるとは思わなかったなぁ…みんなも結構食べたからもう少し買っても良いかもしれないけど、どうしよう。
少し考えて、電話注文をするという結論に達した。
紙袋に印字されていた電話番号に掛けると暫く呼び出し音が鳴り、お婆ちゃんが電話を取った。
『はい。志堂菓子店でございます』
[あの、岩崎と申しますが、明日の午後受取で和菓子の注文をお願いしたいのですが宜しいでしょうか]
『はいはい。商品の方は───』
結構な量の注文をし、明日の午後受取で大丈夫か確認をしたところ、特に問題無いとの返答にホッとする。
金額を確認し、了解した上で改めて注文を依頼する。
通話を終えてはたして本当に必要だったか少し考えたが、何となく、明日絶対に必要な気がしたので自分を納得させる。
他に姉さん達の疲れを取る方法は…お酒、癒やしグッズ、趣味の時間…うーん。
うん。分かんない。
サプライズも必要だけど、やっぱり本人達に聞いた方が良い事もあるよね。
ここでのんびりしていても良い案は出そうにないから戻ろう。
───ここ、僕の部屋のハズなんだけど、あんまり使っていない気がするぞぅ!?
神域に戻って数分と経たずにインターフォンが鳴った。
カメラで確認すると巽さんと…巽さんのロングヘア版みたいな感じの女性が立っていた。
お姉さんとか双子の姉と言われても納得するレベルなんですけど!?
[開いてますのでどうぞ]
「失礼します」
二人が神域に入り、早々動きを止めた。
「昨日より、強く───!」
「これ、人がいて大丈夫な、所じゃない!」
いや僕いますけど!?
「失礼致します」
「失礼致します」
[いらっしゃいませ。どうぞこちらへ]
フラフラしながら入ってきた二人をリビングへと通す。
[ミツルギ姉様、お連れ致しました]
「ああ、そこに座って」
ミツルギ姉様が完全にキャリアウーマンモードだ。格好いいなぁ…
そんな場違いな事を思いながら二人を席に着かせてお茶を淹れるためにその場を離れた。
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