940話 神祇結晶は取扱厳重注意です。
「へー…野菜類や果実類をトン単位で」
深夜の食堂で僕とウェスタ様、神阿多都比売様、そして大宜都比売様と宇迦之御魂様の農筋コンビ
「穀物類の被害は軽微でも果実類は結構被害を受けて厳しいとか。それぞれの大使館職員も慌てて買っていきましたよ」
購入した物のリストを僕たちに見せながら神阿多都比売様は難しい顔をする。
「数百万トンのうちの何パーセントをここでまかなおうと思っているのよ…」
恐らくここに来る度に限界まで買い付けるよう厳命して週1とかで空輸ってパターンなんだろうなぁ…
「多分掛けあわせて良い物を作ろうと思っているのではないでしょうか」
「ワインなどであれば不出来な物の中に私達のモノを入れて底上げを図るとか?」
農筋コンビが同じようなことを口々に言う。
「あ、そう言えば…農場区画はこれ以上広げる予定はありますか?」
「それが…結構限界で」
暗い顔をする女神様方。
「私達の力では高速成長と瞬間刈り入れ、連作障害無視などが精一杯なので…1万ヘクタールの土地を5段構成にするのが限界でして…」
……んんんっ!?
僕の記憶が確かならば、900ヘクタールに1800ヘクタール追加して云々って話だったような…一万!?
「うわぁ…」
「何それ聞いてない…」
あっ、ウェスタ様と神阿多都比売様がどん引きしてるぅ…
「色々足りないのです…何故か農業の神として無茶苦茶信仰されている感はあるのですが、全て新たな畑地や牧草地にしているので…」
「あ、ごめん。それ私が穀物系を袋出荷する際に貴女達の写真に「私が作りました」ってやってるからだと思います」
そう言って10キロの米袋をテーブルの上に置く。
2袋あったそれは嫋やかに微笑むお二方の写真のものと、バック・ダブルバイセップス姿のお二方の写真のものだった。
神阿多都比売様何作ってるんですかねぇ!?
「因みに「服着ているのに筋肉が想像できる!」とか、「お姉様の胸筋に包まれたい」と諸外国からは絶賛です」
いやそれホントどうなんですか!?神の品格落ちまくりでは!?あと諸外国ぅ…
「実害はないですし、保留で」
「ですね」
「いや保留にするんだ…」
この大らかさよ…むしろ褒め言葉とすら思っていそうだ。
「話を戻しますが、これ以上広げられない以上に維持が…」
そりゃそうなりますよ…無理しないでくださいって…
「神国で栽培というの手は?」
「あ、それはもうやっていますが、あちらの作物は内部で使うのと保管用です」
「あ、そこは分けているのね」
「食堂の食材は神国栽培に全て切り替えています」
「では問題は維持問題…と言うことは減反政策ですか」
ウェスタ様の台詞にお二方は同時に俯く。
「「減反、したくないです…!」」
いや多すぎるんだって…まあ、全世界に穀物供給しているわけだからそれでも足りない…訳ないんだった。
900ヘクタールあれば年間1.6億トン出来るとか恐ろしい説明を前に受けた気がするぞぅ!?
それが1万ヘクタールあるなら間違いなく主要穀物はオーバーしているはずだし。
まあ、あって困るものじゃ無いか…
僕は神祇結晶を1つ取り出してテーブルの上に置く。
全員がガクンと体を硬くした。
これを使ったら、保ちますか?
「私達全員でも、余るわよ!仕舞って!」
なんか、危険物扱いが過ぎると思うんだ…
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