939話 各地の様子(箱庭内)


 SIDE:箱庭神域


『みゅぅ…うにゅ…』

 コロンと寝返りを打ったみゆにタオルケットを掛けるマイヤ。

『お姉様、私とお姉様で両脇を挟んで寝返りを止めるというのは如何でしょうか』

『んー、ねがえりさせてあげたいし…』

暴走しそうな方々佑那&ジャンヌから守るためです』

『…そだね』

 畳間の外からハァハァ言いながらその様子を見ている佑那とジャンヌは立派(?)な変質者判定を受けていた。


「ごめんねぇ…神様方と顔合わせしてもらう必要があったから」

『いえ…凄く個性的な神様方で…』

『おばーたますごかった…』

 そうだね…伊邪那美お母さんのあの状態はね…初めて会ったときの生者大嫌い感がだいぶ抑えられてはいるけど…

 天之御中主様は僕らがいる間にあのウイスキーを1本空けていたなぁ…

「あ、今日から屋敷で寝泊まりしてね?」

『はい。そのように』

『?』

 みいくんがピクリと反応した。

【BOX-SYSTEM:結晶貯蔵量が80%を越えました。マスター登録者は速やかに結晶の回収を行ってください】

 えっ?

『お家の方からぶわーって力が出てるの』

 あ、うん。箱が…頑張っているんだね…佑那大丈夫かな…前より圧が掛かっているのが分かるレベルだし。

 僕らは少し急いで屋敷へと向かった。



「うわぁ…入れても入れてもまだまだあるよぉ…」

 はい。現在箱から結晶を取り出しています。

 箱さん、どうやら89%まで溜め込んでいたらしい。

 キャパをとうの昔に越えているのに89%ってどういう事?と思ったら、箱が爆発する手前だったようだ。

 ───世界を枯渇させた箱がキャパオーバーで爆発するってなんだろうね?

 いや御免て。

 せっせと数百個取り出したけど17%しか減らない。

「…よし」

 兄さんに200個程メッセージに添付して送りつけておこう。

 兄さんなら、兄さんなら何とかしてくれる!

 まあそれでも誤差レベルですけど…

 他に、他に収納できたりあげることが出来るのは…納屋?戸棚以外に納屋があるいつの間に?

 納屋に2000位入るかな?

『あのっ、なんだか凄い力が渦巻いていて…』

「あっ、ごめんなさい!先に中入って!これ片付けてから入るから!」

 僕は慌てて納屋に神祇結晶を大量に放り込む。

 念のため鑑定しておこうかな…


【巫女納屋Lv1】UNKNOWN:ある程度入る小さな代物。

 神祇結晶(2411/5000)


 ………うん。暫くはこれで大丈夫。他の世界の神様方がやらかさない限りは…



 あ、佑那が怒られてる。

 ジャンヌさんは…あ、ただ可愛すぎて興奮していただけと。

 佑那は抱きついて頬ずりしようとしていたからギルティと。

「…佑那、よくこの箱庭で普通にいられるなぁって思っていたのに」

「へっ?どういう事ですか?」

「今の箱庭の神気というか、神圧…凄いでしょ?」

「え……っぐぅ!?」

 あ、此奴テンション駄々上がりだった挙げ句圧が上がっているのを分かっていなかったのか…

「自分の周りに結界張って少しずつ慣れるかマンションに戻った方が良いよ?」

「…結界張って、頑張ります」

 そう言うガッツはあるんだよなぁ…色々残念だけど。


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