976話 突入段階で危険域


 契約が出来たっぽい。

 タイムさん達と同じ感じだ。

「タイムさん、フィラさん、新しいお友だちですよ」

「身支度はご主人の部屋で調えさせるッスよ!箱庭はまだ無理そうッスから!」

「清楚系も良いけど、ワインレッドのスーツとかも怪しさと妖艶さがあって良いんじゃない?」

『エッ!?エッ!?』

「いってらっしゃーい」

 突如現れた魔神級の元気っ娘と、精霊であり大悪魔2人組にガッチリ捕まれて影の中へと連れて行かれた。


 SIDE:紅葉美月


「これが、ダンジョンへのゲート…でしょうか」

「色は違うけど、ソウみたいですね」

 ミシェルさんとダニエルさんがあの幽霊の部屋だったという2階の一番奥に置かれている合わせ鏡の真ん中を見て呻いている。

「みーには何が見える?」

 香也が私の方を向き、問う。

「…そのゲートはダミー。本物は鏡台の後ろ」

 私の眼には合わせ鏡の中間点には何もなく、別の場所…中央にある鏡台の後ろにゲートが見えていた。

「…まさかこれ、幻影の置き換えか!?」

 私の言った意味を香也は気付いたようだ。

「どういう事ですか?」

「このダンジョンが危険だと判断して封印を施しています。地脈の力を使って魔物が外に出ないようにと」

 本当に、恐ろしいほどの力でここを封じている。

 更に凄いのがその力をこの部屋の中、しかもこのダンジョンの入口部分のみに展開できている事だ。

 川に沿ってくる気脈と道に沿ってくる気脈を美味く取り込んでここの結界と封印に宛がっている。

「神祇伯の力でこのレベルの地脈操作と結界、そして封印術は可能?」

「無理。少なくともこの封印術はスキルとかじゃない。こういった事を専門にしていたような人間が作り上げたものだ。現に術者が死んでも綻びもなく稼働している」

「スキルだとこうはならない…のですか?」

 ミシェルさんの問いに香也は少し難しい顔をする。

「ならない。残りはするけど、何年も保たない」

「ということハ、この先のダンジョンは…それ程キケンと」

 私以外の全員が突入準備に入る。

「少々お待ちを。衛士と武者達に探らせます」

 私はスキルを使いそれぞれ2名ずつ召喚をして二人一組にし、まず一組目を送り込み続いて二組目を一人は入ってすぐに引き返すよう指示をして送り込んだ。

 衛士が中に入りすぐに出て来た。

「敵は?」

 首を横に振り手で戦闘中のハンドサインを出した。

 実は戦闘訓練の成果の一つがこのハンドサインだったりする。

「先に突入を」

 私は衛士にそう指示を出して更に各10名召喚して送り込んだ。

「さて、では…行きますか」

 香也がそう言って突入しようと動いた時、護衛士官さんが全員の前に立ち、手で制した。

 全員が「えっ?」となった次の瞬間、ナニカがゲートに、そして結界にぶち当たったのが分かった。

 そして同時にわたしが召喚していた衛士や武士達のリンクが切れたことも…

「…これは、更に気を引き締めていかないと」

 声は強張っているものの、笑みを浮かべている香也の強がりに苦笑しながら護衛士官さんを見る。

 護衛士官さんはこちらを見て頷き、1度ゲートに入った後に手だけ外に出し手招きして再突入した。

「一応軍人だっタんで…お先に」

 ダニエルさんが後に続き、私達三人、いえ、4人はダンジョンへと突入しました。


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