892話 須弥山内戦状態
食事を終えマイヤ達は第2スタジオでお菓子パーティーをしている。
僕と廣瀬お姉さんは箱庭の縁側に座りお茶を飲んでいた。
「廣瀬お姉さん。さっき本当は何か別のことを言いに来たんでしょ?」
「はい。まあ、捕まえたことも事実なんですけどね?」
廣瀬お姉さんは小さく笑ったあと、スッと表情を消した。
「…現在、仏教世界がほぼ機能停止を起こしています。そして現在、大自在天らが戦闘中とのことですが、欲界自体に入ることでできないために応援ができない状態とのことです」
「シヴァ神様も大変だね…他化自在天に力を奪われたり同一視を狙いマーラと紐付けさせたり?」
「…日本の神々と同じ事になっていますね~混同に見せかけた属性強奪。どの辺りから狙っていたのか…恐らく最初からだとは思いますが」
「ただ、多分それを見越した防衛もあるハズなんだけど…」
「殆どが落とされているそうです」
「なんで!?…あっ、閻魔天がほぼ不在だから…でも四天王が…ああ、そっか」
完全に不利な状態だ。
それは欲界の構造と他化自在天の持つ数々の権能と特性のせいだ。
「あちらはどう処理するのかな」
「上界の軍を率いて攻め入る話をしていましたが…恐らくは」
「勝てない?」
「はい。他の神々の応援を要請することもできないほど混沌としているので」
廣瀬お姉さんはずっと僕を見ながら言っている。
「…何か案があるんでしょ?」
「欲から縁遠い者が軍を率い攻め入る案が出ています」
「でもそれは廣瀬お姉さんが却下したんでしょ?」
「はい。それこそがあちらの狙いでしょうから」
そう言ってにこりと笑った。
あっ、これ別案を出したな?
「……廣瀬お姉さん。僕に関する案を提示したんでしょ?怒らないから言って?」
僕は全力で笑みを見せる。
「怒ってます。絶対に怒ってます~!」
絶対にさっきの話の中にヒントがあったんだ!巫女にゃんこ奉納歌とか、連続で流して精神攻撃だーとかお馬鹿な提案したんだ!
「絶対に巫女にゃんこ奉納歌で戦局が変わることはないからね!?」
「変わるんですよ!?凄く!」
「変わってたまるかぁぁぁっ!?」
「なんでですか!?」
「兄さん兄さん」
廣瀬お姉さんとギャアギャア言い合っている中、佑那がやってきた。
「何?」
「神域にお客さんが来ているって」
「えっ?」
「なんかどこかで見た事あるようなお客さん」
「…どちら様?」
「観音様」
まさかの同別役職の人が来た。
神域に行くと女性のような男性が立っていた。
「初めまして。私は───」
「観自在菩薩様、ですよね?貴方がここに居るという事は欲界は陥落したのでしょうか?」
「いえ、あちらは現在大自在天と閻魔天が戦っております」
「仏教他者成り代わりが多すぎ問題が…!」
僕は頭を抱えたくなった。
「現在はシヴァ神と先代閻魔王がそれぞれの役職に就いております」
「貴方も大自在天や他化自在天になれますよね?」
だからこそ周辺の神様方が警戒しているんだけど…すっごいピリピリしている。
「私は代理としての資格を持ち空白時にその仕事を熟すと言うだけです」
「他化自在天の汚染は受けていないと?」
「はい。実はおよそ2000年程欲界には伺っておりませんので」
「は?」
えっ?今この仏様とんでもない事言ったような気がするんですが?
「閻魔天が監視をするとのことと、私が欲界に顔を出しすぎると色々面倒が起きると…出禁を受けていまして」
観自在菩薩様、まさかの欲界出禁だった。
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