963話 誰かのニセモノを作るには…
「『………』」
えっと、僕の見え方が独特だったとかじゃないよ?
「みんなの認識とがずらされていたのと、アイテム?による隠蔽効果が凄かっただけだからね?」
『…上司と擦り合わせを行い、今後この様なことが無いよう情報共有と技術革新を行います』
ぐぬぬと呻きながら重装救命官がそう回答した。
「私は…より感覚を鋭敏にして見破れるようにする…としか言いようが無いな。それが限界だ」
課長が申し訳なさそうに言うけど…実は課長の方が感知しやすいかも知れないんだよなぁ…今回は結界で阻まれていたから分からなかっただけだと思う。
「ただ今戻りました…あ゛あ゛~…何であんな化け物が出てくるのかねぇ」
「ホントですよ。護衛の人がいなかったらうちら全滅ですよ?」
「まさかあの子達を放り捨てるわけにもいかないでしょ?これがお仕事なんだから」
強行班の人達が戻ってきたようだ。
「無事だったか。良かった」
「何かあったんですか?みんなから言われるんですけど」
「ああ。備前の守人?だったか…奴等のニセモノがダンジョンから出て来た」
課長からそう言われ、全員が何を言われたのか分からないという顔をした。
「んっ?…んんっ!?どういう事ですか?」
「備前の守人の姿形をしたモンスターが結界を素通りして出て来たんだよ」
「大問題ですよね?それ」
「大問題なんだが、解決は難しいらしいんだよ…というか、下手すると岩崎達しか分からないレベルだ」
「大問題じゃないですか!」
「これを出入りできないようにしたら善良な妖怪も使役系のスキルを使う連中も全部アウトになる可能性があるぞ?」
「えっ?…あー…そこまで厳しくしないとマズイレベルなんですか?」
「暴れられたら止められるか?今回は結界内に隔離して岩崎が処理したが…神域内の神気以上の力で漸く正体を現した連中だぞ?」
まあ、正体現したら結界の攻撃対象になるけど。
「ダンジョン内で学習したのだろう。其奴らの仕草や言動全てを忠実に再現しているようだ。だから分からん」
「…今後、急患と言いながら偽装して外に出る連中が居るかも知れないって事ですよね?」
まあ、それに気付きますよね…
「そうだ。そしてそれは我々の姿をしているかも知れない。何度もダンジョンに出入りしているわけだからな」
もしかするとどんどん偽装が進化するかも知れない。
そういった技術は日々進化していくものだから。
こちら側もそれを見破る技術を高めなきゃならない。
「…考えるだけ、無駄かも」
「岩崎?」
「いえ、こちらのセキュリティ…と言うよりもこちらの技術含めた色々な物をダンジョン側に提供した人や神様がいるわけですから都度対処しか方法が無いなと」
全員が「あっ」ってなった。
鑑定の件や結界の件はそれらの対策というのもあるけど、まだ内部に潜んでいる可能性が無いとも言えないから段階を踏んでやっている。
「こちら側で出来る事はかなり限られています。ただ、現時点だと僕や救命師団のみんなが看破可能なのでそれで何とかするしかないです。ダンジョンに行く際は絶対に同行させてください」
全員が難しい顔で頷いた。
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