962話 日常業務の中のよくある?トラブル


「課長、1時間半前に出た部隊がまだ帰ってきていないのですが」

「うん?中層域だろ?そろそろ帰ってくると思うんだが」

 中層域でのトラブルであれば1時間半から2時間は掛かるはず。

 なのにどうして───

「それが、救援要請したチームは戻って来ているのです」

 救援要請をした対象がゲートから出るとセンサーが感知し、こちらに情報が来るようになっている。

「は?」

「備前の守人というチームですが、先程ゲートを抜けた形跡があります」

「救援を要請したならこちらで手続きをしなければならないのにか?」

「巫女様!入口で巫女様の兵士がチームと揉めています!」

 ………途轍もなく厄介事の予感がする。


 駆けつけると玄関先で重装救命官が4人組を結界で隔離していた。

「どういう事だよこれは!」

「何なの!?早く出してよ!」

「「……」」

 暴れる2人にきまずそうな2人。

「すみませーん。皆さんうちの救援部隊はどうしたんですか?」

 僕がそう言いながら結界に近付くと気まずそうにしていた2人が慌てだした。

 それに対して僕は聖光に神気を混ぜたものを結界内に送り込んだ。

「「ぐぅっ!?」」

 途端に暴れていた2人が苦しみだす。

「慌てないでゆっくり深呼吸してください。はい、吸ってー、吐いてー、はい大きく吸ってー」

「「がはっ!?」」

 大きく吸い込んだ瞬間に黒い靄が口、鼻、耳から出て来て、即座に浄化された。

「「ひいっ!?」」

 怯える2人に対して僕はまだ深呼吸をするように勧める。

「深呼吸してください。貴方達が本体なのですから。はい、吸ってー?」

「っぐあああああああ!」

 怯えていた2人のうち片方がボコボコと体を変形させ、

「があっ!?」

 結界の判定で消し飛んだ。

 うん。しっかり起動しているね!

「はーい濃度上げまーす」

「ちょ!?あっ、ああああ゛あ゛あ゛あ゛っっ!?」

 神気を増やして行くと耐えきれなくなったのか全身から黒い靄を出してその場に倒れた。

「岩崎、お前…えげつないな」

 僕が悪いの!?



 結界の中を見ると体がグズグズに溶け、やがて消滅した。

「こんなんで結界通り抜けることが出来たという時点でアウトなんだけどなぁ」

『主様。あの四名の肉体は人とほぼ変わらない代物でした』

「えっ!?」

『恐らくクローンなどの技術を使いこちら側レベルにいるのかと』

 妖怪とか憑きものつきの出入りもあるから…

「しかし、良く分かったな?」

 課長が問うと重装救命官が首をかしげる。

『中身が違いますから。主様も気付かれたのでは?』

「着ぐるみ姿でウロウロしている変質者でしたね」

「『えっ?』」

 あれ?

「待て。着ぐるみ?」

「肉襦袢と言った方がいいですかね?それを着ている悪魔?って普通に変質者だと思うんですけど?」

『主様…そんな風に見えて…』

「えっと…見て見る?カメラには僕が見たままの姿が見えると思うけど」

「『えっ!?』」

 いや、そんなに驚かなくても…

「それに強行班には護衛士官が付き添いでいますから余程のことが無い限り負けませんよ?」

 とりあえず僕たちは会議室へと向かった。


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