839話 やっぱり出て来たチケット商法(詐欺)
「………」
ミツルギ姉様がなんか凄くだらしない顔で眠っている。
お腹ハムハムとお腹ブーブーは駄目だった?
服の上からだからブーブーではなくてフーフーだったけど。
んしょんしょと抱き上げようとして、マイヤに補助された。
『パパ、お布団じゅんびできているよ!』
「ありがとうマイヤ」
2人でミツルギ姉様をお布団へinして一息吐く。
「…今日お休みだし、ミツルギ姉様はさんでもうちょっと寝る?」
『良いの?』
「よし。寝よう!マイヤちょっと大きくなってミツルギ姉様の左に。僕右で」
『はーい』
うん。良いお返事。1メートルいかないくらいの大きさになったマイヤがミツルギ姉様の左側に入り満足げな顔をした。
僕も右側に入る。
「『おやすみなさい』」
スヤァ
SIDE:協会本部
「巫女様に振り込んだから!神国に移住して良いって!」
「俺ッ!神国に行って良いって言われたんだけど!」
「100万で神国行きのチケットを買ったのっ!ほら!」
「ここから神国に行けるって聞いたんですっ!チケットならあります!」
よく分からないチケットを握りしめた老若男女がカウンターに詰めかけている。
カウンターどころか外まで溢れているため職員達もこちらとは無関係と大声で説明するも全員一行に聞く耳を持たない。
それどころか「自分たちだけ助かろうというのか!」と怒声をあげる始末だった。
「そもそも神国行きのチケットなんて聞いたことないんだが?」
藤岡がそう言いながら拳を振り上げている男のチケットを見る。
「……神国行きって、おいおい。国名すら書かれてないんだが?悪質な詐欺に引っかかってないか?しかもフライトって何だ。確かあちらへは転移だったか転送だったかで行くんだろ?フライトって言葉自体おかしくないか?」
ザワリと全体が大きくざわめいた。
「巽、連絡とれるか?」
奥から巽が姿を見せる。
「どちらへ確認しますか?」
「まずは外務省に神国への渡航について先方から許可が出ているかどうか」
「畏まりました」
「西脇、神国にメールで問い合わせを頼む。私名義で「数百名程神国行きのチケットを持って探索者協会に詰めかけている」旨の質問状だ」
「分かりました!」
大音声に畏縮した者達を見回し、藤岡は一言付け加える。
「ここは神国の大使館でも何でもない。巫女様が務めてはいるが、神国と探索者協会はそんなに関わりがあるわけでは無い。
こちらから口添え出来る権力も何もない…が、その詐欺チケットに関しては恐らく神々からの徹底糾弾と死や消滅より恐ろしい目に遭うことになるだろう。
それとそのチケットは一応持っておいて欲しい。詐欺被害が確定し至第、絶対に誰にでも分かる形で神国の実働部隊が来るはずだからな」
藤岡はニヤリと笑う。
「外務省よりまだ渡航許可は下りていないそうです」
巽の報告にチケットを持った全員から悲鳴が上がった。
「神国の廣瀬氏より返信来ました。神国からそのようなチケットを発行した覚えはなく、日本国との一般人渡航許可はまだ下りておりません。
ただ、神国の名を騙り悪さを働かせる者達を許すわけにはいきませんので即座に対処させていただきます。被害者の皆様方に対しては制裁後に金銭を含めた補填を日本国と共に考えさせていただきます…との回答です」
「そのチケットは絶対に手放さないように。さあ、これ以上そこで待機されると業務妨害になってしまうのでお帰りください」
藤岡はにこやかな顔でそう言いつつ殺気を僅かに滲ませて全員を追い払った。
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