840話 詐欺?vs廣瀬お姉さん
目が覚めたらミツルギ姉様が僕とマイヤを抱きしめていた。
「楽園は、約束の地はここにあった…」
「箱庭だからまあ、楽園なのかなぁ?美味しい果物も沢山あるし」
「ひゃうっ!?」
いや、ミツルギ姉様驚きすぎじゃないかな?
「まったく…4回は尊死したんですよ?」
それは死にすぎでは?
起き上がったミツルギ姉様はマイヤを抱っこして頭を撫でている。
あ、これ完全無意識だ。
「ん?メッセージが大量に…んんんっ!?」
「ミツルギ姉様?」
「阿呆共が涌いて出たらしいんだけど」
「えっ?」
「神国へのチケットやらパスポート提供などといった物を売りつける詐欺商法が頻発しているらしいわ」
ああ、とうとう短絡思考者が出て来たかぁ…
「…ああ、もう世界が終わりだからって思って好き放題やり始めたのかな?強盗とかする力がないから手早く騙そうとか?」
「何故そうなるの?」
顔をしかめるミツルギ姉様。
「だってあの世があるって分かったら怖くてそういう事躊躇ったり出来ないかもしれないけど、世界が滅んだらあの世も何もなくなる!って思ったんじゃないかなぁ?」
「という事は次に起きるのは、暴動?」
「恐らく。場所によっては起きているんじゃないかと」
「……まずは神国を騙った連中を始末する事からね」
「できる限り温情を…」
「国としての面子もあるのよ?…まあ、無理矢理片棒を担がされた人は情状酌量の余地があるとしてそれなりの対応をしましょうか」
良かったぁ…
無理矢理スケープゴートにされている人もいると思うし。
「それと、被害者達に対して僅かばかりでも補填するってきているんだけど」
「えっ?それは犯人取り締まってそこからだと思うんですけど?そもそも補填するってどうやってですか」
「補填に関しては廣瀬氏が言っているみたいね」
あっ、これトラップだ。
僕が固まったのを見て何か悟ったのかミツルギ姉様が「まさか、策略?」と聞いてきた。
「多分ですが。廣瀬お姉さんがそんな簡単に補填するなんて言わないと思いますし」
被害者の方々には申し訳ないけど、今回の件に関しては自分だけ助かりたいという思いが見え隠れしている以上、僕は余り関与したくない。
「……もしかして、選別というか、ブラックリスト作成も兼ねている?」
「ブラックリスト、ですか?」
「ええ。可能性の話だけど、自分だけ助かろうとしたとか、それぞれの状況を確認して…段階をつけて」
うわぁ…やりそう…
「補填を金銭と限定しておいてしつこく食い下がってくる人は入国拒否とペナルティとか、廣瀬お姉さんやりそうだぁ…」
「それを即座にプランニングして実行?軍師じゃな───」
ミツルギ姉様が硬直した?
「犯人一味、割り出したそうよ」
「ヒェッ…」
「他にもいないかの洗い出しに神々の協力を求めているわ…ねえ、本当に廣瀬氏って元人間よね?元々情報が具現化した神とかじゃないのよね?」
ミツルギ姉様がちょっとテンパってきてるぅ…
「元の身元も分かっているので大丈夫ですよ。とても不器用で、でも優しいお姉さんですから」
「信じるわよ!?…応援に行ってくるわ…」
あの、ミツルギ姉様?マイヤを置いて行ってください…抱きしめたままそのまま行かないでぇ!
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