838話 戦場と、楽園?
SIDE:神界
見知った神々が円陣を組みアポローン神が内側の敵ではなく外側の何者かに向けて注意を注いでいる。
ゼウス神のみがその強大な力で出てくるモンスターをひたすら蹂躙していた。が、それでも疲れは溜まり、傷付いていく。
正体不明のモンスターは神界の地上を、空を侵蝕せんと次々と現れる中、ゼウス神は息を吐き柄をを強く握りしめる。
「各々方、取りこぼした奴を頼む!儂が注意散漫になる以前に限界が来る!」
そう叫んだときだった。
『!?』
その場に居た神々全員が不思議な力を感じた。
疲れと傷が癒え、そして気分が高揚し思考がクリアになっていく。
ゼウス神が雷霆を大きく振るい、敵を殲滅する。
そしてアダマスの鎌で周辺に真空刃を発生させて引き寄せる。
「傷が癒える!疲れが消えよった!そして力が湧き上がる!」
アダマスの鎌を投げ、雷霆を打ち鳴らす。
モンスターは神の雷により消滅し、範囲外の者達は飛翔する鎌の一閃で命を絶ちきられた。
「例えドレーン攻撃を受けてもあと3日はいける!」
それほどまで追い詰められていたのかという他の神々の視線を余所にゼウス神は更なる迎撃を行った。
SIDE:箱庭
10分ほどの祈祷を終え畳間へ行くとミツルギ姉様が縁側で寛いでいた。で、
「ミツルギ姉様…どうして僕が膝枕されているんですか?」
「私がしたいから。ゆーくんに癒やされたいの」
何故かミツルギ姉様が僕に膝枕をしている。
あれぇ?逆じゃない?と思いながらも押し切られてしまった。
「くっ!なんか凄く桃色空間ッ!」
佑那が僕らの状態を見てそんなことを叫んだけど…うん。
「……佑那って時々おじさんみたいな言い回しするよね」
「!?」
えっ?もしかして効いちゃいましたぁ?
「私も膝枕する!」
そう言って佑那は寝ている僕の膝を枕にした。
「…朝から見られる光景でもなければ、膝枕連鎖なんて光景、そうそう見られる物でもないよねぇ…馬鹿っぽいし」
あと佑那、膝枕って顔埋める物じゃないから。
「確かに馬鹿っぽいわね」
ミツルギ姉様もジト眼で佑那を視ている。
と、配信を終えたジャンヌさんがやってきて佑那をひょいっとお米様だっこ(俵担ぎ)した。
「佑那ちゃん、邪魔してないで行きますよ~」
「離して!離してジャンヌ!私はあのイチャラブ空間を!」
「はいはい、おまいうおまいう」
「誰だジャンヌに変な言葉教えたのは!」
ギャアギャア言いながら2人は去っていく。
なんだったんだ一体…というかジャンヌさんゴメンね?貴女を佑那と同等に扱いかけていたけど、TPO弁えた人だったんですね…
「…ねえゆーくん。あの世界の現状、把握している?」
「いえ、今神界のギリシャ地域が攻められている事くらいしか」
「うん。しっかり把握しているね。普通は神界に攻め込まれた時点で終わりなの」
僕の頭を撫でながらそう諭すように言う。
「ただ今回はあの世界に罠と網を張ったからそんな事は起きないと思うの」
「…もしかして、今回の神界の穴ってトラップですか?」
ちょっとビックリした僕がミツルギ姉様を…お胸が邪魔で顔が半分も見えない…
「内緒だよ?罠は起動しているけど、あとは網が何処まで有効か…ああ、狙撃は予想外だったけど、本当に危なくなったらアレは取っ払えるからね?そのための網だし」
───でも、内通者がいる可能性もあるから言わなかったのかな?
それとも説得工作の際に色々言われたりしたからかな?
でもでも教えて欲しかった!
僕はせめてもの反撃にミツルギ姉様のお腹に唇を当ててハヴァスターイ様直伝のお腹ハムハムをした。
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