918話 まだ盗み見している2人
一通りの踊りを熟して周りを見る。
元気なのは最初から踊っているマイヤとリムネー、元々途中しか参加しない廣瀬お姉さんとラヴィお姉さんだけだった。
「……駄目。5曲目の途中で、バテる…」
昨日同様草原に大の字になって倒れている佑那。
「本番では曲と曲の間に2~3分の間があるから、その間休んだら?」
「兄さん…その休憩で立てなくなっちゃうかも知れないのよ?」
「ポーション使えば良いでしょ?もしくは回復系のスキル使って貰うとか」
何だろう、みんながこっち見てる。
「…………その発想は、無かった」
いや気付いてよ。
『そ の 手 が あ っ た か!』
『ドーピングでも何でも無いわな』
『競技じゃ無いし、回復要員が居るならそれができるね!』
『体力はそんなに回復しないけど、ダメージは取れるからね!』
『ポーションは無理でも神聖職の人にお願いすれば良いのか!』
『マジでその発想はなかった』
『歌手含めこれで色々と考えが変わるぞ!』
「…師匠、マジ師匠ッス」
「本当にね…絶望していたりパニックになっていた人達が右往左往しすぎて…」
「あっ、でもみこにゃんこは通しではやらないんだ」
「マジッスか!?アレいつも一発撮りなのに!?」
「今まで全て一発撮りかライブでしょうが」
「…そうッスね。師匠はアタオカッスね」
「あっ!カメラに気付かれた!」
「しまった!皆の衆さらばッス!」
「……懲りてないようだね。しかもフィラさんまで…」
「「あはははは……スミマセン」」
2人を正座させてお説教かなと思ったけど、何か訳があると思ったので話を聞くことにした。
「えっと、師匠は自分の部分は終わっていても教えたり色々あると思って…だから自分が代わりに配信したッス。あと師匠が凄いってところを見せたかったッス!」
「私は…タイムが暴走したときある程度ストッパー役としてかしら」
ある程度…かぁ…
「止められた?」
「ある程度だけど、うん…ちょっとやらかしたわ」
「えっ!?自分、やらかしたッスか!?」
「箱庭のこと、あのままだったらポロリと言ってしまいかねなかったでしょ。2回も止めたのに」
「喋らないッスよ!?ただ、見ているみんなに可能性を示唆しただけッスよ!?」
んんっ?
「何の可能性?」
聞いたら怖いことになりそうだけど、一応聞いておこう。
「師匠にちょっかい出して心に傷を負ったら師匠が引き籠もって地球から隠れるかもって。そしたら神国は地球を見捨てるし神々も人を見捨てるんで数十年で死の星になる…って言ったッス」
「間違ってはいないから少し煽ってコメント欄見て軌道修正しようとしたら…
神兵の方々もウンウンと頷いてるぅ…あとね?みんなあんまり天之御中主様を悪く言うのやめよう?拗ねちゃうよ?
「あっ!あとコメント欄で明日のライブ会場付近で師匠に似た人がいたとの通報があったッス」
「それ重要な話じゃ無い?それ重要事項じゃない!?」
明日しかけてくるとか、何も考えずに「見に来たよー」とか絶対訳の分からないことすると思うんだ!
「タイムさん、フィラさん、明日朝から会場とその周辺のチェックを念入りにお願いしますよ!?」
「「
ほんっとうに任せたからね!?
不安はちょっとあるけど、今僕たちが出来る事はライブを完璧に熟すことだ。
「明日のリハーサルと本番はしっかりやるよ!」
「「「「「『『はいっ!』』」」」」」
全員の気合いの入った声に僕は大きく頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます