830話 疑問と、分からない事


「マリアンナさん、知っていたらで良いんですが、こんな侵攻状態って前代未聞?」

『はい。通常は有り得ません。長い時間を掛け共存していくフリをし突如牙を剥くという手法が9割です』

「残り1割は?」

『最初からクライマックスな総攻撃です』

「…もしかして、地球って昔にその1割で失敗したレアケースですか?」

『はい。以降ひたすら邪魔されている状態です。そしてあちらとしては我等が主を手中に収めるためにも絶対に───』

「マリアンナさん?」

『失礼致しました。襲撃を受けていましたので対処致しました』

 いやそれ重要なやつぅ…


『地球より転送による低火力核攻撃を受けていたので戦闘宙域から離脱しただけですのでご安心を』

「何も安心出来る要素がないんだけど!?核!?」

『あの程度の攻撃であれば問題は無いのですが、それを弾幕に本命を打たれた場合が怖いので障壁を増強しております』

「マリアンナさん、気を付けてくださいね?」

『無論です。先程の続きですが、我等が主を手中に収めるためにも絶対にこの世界を手に入れなければならない。もしくは完全に壊しきらねばならないという事です』

 言われたことを考える。

 いくつか気になる点もあるけれど、それはもう少し考えがまとまってからで…

 廣瀬お姉さんが言っていた存在証明と二重保証。

 それは神々…創造神こそが絶対保証者であり世界創造の際に表裏一対の世界を形成するんだと思われる。

 僕の神域である箱庭は個人の神域のハズだったのに神域から世界へとなっていた。

 つまり僕は僕を保証している状態…更には箱庭に住まう者の存在を保証している。

 ───あれ?

「マリアンナさん。兄さんの存在保証を楯に手中に収めようとしている…と考えられているんですよね?」

『そうです』

「……兄さんの所属、僕の世界になっているんですけど…あと佑那も」

 そう、僕はあちらを拠点としている皆に対して滞在許可ではなく、を許可している。

 仮の許可はごく少数だけど問題無い場合は通常の住人としての許可を出していた。

『…………っっ、っはっ、あ、あははははははは!』

 ええー?突然笑いだしたんだけど…

『ダンジョン側の、総攻撃の意味がむっ、無意味っ!…』

 バンバンバンと爆笑しながら何かを叩いている。

 えっと…マリアンナさん、キャラ壊れてますよ…?

『、っ、は…ッ、生まれて初めて、笑い死にしかけると、いう希有な経験を…』

 数分後、何とか復帰したマリアンナさんはそう言って居住まいを正した。

『最大限の感謝を。最大の懸念事項が解消されました』

「うん。それは良かったです…えっと、ちょっと確認なんですけど、僕の世界は神界とかないんですが…」

『世界ができた当初は混沌たる原初の世界なので当然かと。そこからどうするかを決めるのが創造神の手腕ですし、無理に分ける必要もありません』

「えっ?」

 それだと矛盾が生じない?

『…簡単に言えば神界は神々の住む世界であり脱出装置です。そして世界は生命プラントというよりも延命プラントだと思っていただければ。信仰等の形で余剰エネルギーを生み出し神の寿命を追加で得る形です』

「……別に無くてもそんなに問題は無いと。ただ、信仰でエネルギー回復するし余剰分で寿命が延びるから良いよね!的な感じと」

 そりゃあ簡単にリセットするよね…昔の神様方…でも、今の神様方は?あれっ?

 また考えること増えたんですけど!?


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