822話 ブレイクスルーな廣瀬氏


『えっ?』

『いやまさかそんな巫女様冗談キツいっス』

『という事は騒いだ連中…アウトー?』

『国をあげて騒いだ所って何処よ?2カ国しか知らんけど』

『4カ国』

『いや、奴等の事はスルーで良くね?』

『そもそも許可まで取っているのに騒いでいた時点でアウトだしな』


「先程も言いましたけど、普通に無理のない引用で更に相手側に確認も取っている…これって叩かれる理由、あるんですかねぇ~」


『ないぞ』

『あったら世界中の研究者どころが大学生が困る』

『裁判でも勝てるレベル』

『叩くとしたらさっきの僕が先と騒ぐだけレベル』

『ただそれすら先だろうがテーマにそぐわなかったで切り捨てられる』


「あっ、今祓戸様から連絡がありました。神様方の集計結果、2ヶ所の国から審議の石板取り上げと一切の加護撤収だそうです~他の国3カ国に関してはダンジョン側の煽動者がいたり何らかの外的要因があるので保留だそうです~」

「せお姉様、スタジオの外からカンペ出してないで入ってくれば良いのに」


『うわ、うちの国かな?是非も無し』

『なんか外で巫女の横暴を許すなって騒いでる…あ、連れて行かれた』

『神様に文句言えないからって巫女様のせいにするのやめて?自業自得だよ?』

『マジでソレ』

『本人達が要らないって言った結果なんだから喜んで受け入れれば良いのに…』

『いやいや俺全く関係ないのに職とかスキル無くなるの?』

『ワイの所アナウンスなし。助かった?』

『多分アナウンスない所は助かった』


「神様方への異議申し立ては神国へどうぞ~。ただ、気紛れに貴方がたの民意を反映させただけでその結果を覆すつもりは無いようですので余計怒らせるような事だけはくれぐれもなきよう願います」

 廣瀬お姉さんは微笑みながらそう締めくくった。

「えっと、レポートの件は?」

 という僕の問いに対し、

「どうせ無視で良いですよー。勝手に使って「巫女様のだしレポートという形だから無視で良いだろ」と思っていたらそれの元論文権利者含め多方面から訴えられる構図しか見えませんので~。

 それと先程も話があったように活躍しても私規格でいう第1階梯の死霊系もしくは動く屍程度に有効なだけで第2階梯の小鬼や餓鬼、等に対しては現段階で即死級のダメージを与えられないようですし、連射もできないようなので無駄無駄、です~」

「廣瀬お姉さん規格ですか…」

「はい。実際ゾンビ程度なら人の力でも何とかなりますし、死霊も強い意思を持って対峙すればなんとかなる場合も多々あります。そういった「ギリギリ何とかなる」のは第1階梯です。

 その程度のモノを倒せる武器を「凄い武器だ!」とはしゃがれても…各国の特殊部隊が通常装備している武器や兄者さんが昔世界に配りまくった退魔武具に比べたらとてもとても…

 聖職者数名が金属板に1時間に1回聖光を浴びせ、それをプロペラみたいにモーターでぶん回せば第1階梯のモンスターは殲滅出来ますし、勢いついていたら小鬼も吹き飛ばす事は出来ると思いますよ?」

 と言ったあと「なんでそんな簡単な物も考えられないんでしょうねー?」なんて首をかしげる廣瀬お姉さん。

 多分これ聞いた今、色んな人がソレ作ろうと動き出していると思うんだ…第1階梯のモンスターに占拠されている町村が多いから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る