836話 箱の中身はなんじゃろな?


 おかしくね?なんか、うん。

 色々突っ込みたいんだけどさ!

 このプライベートボックスの件を話したらお三方とももの凄く険しい顔で唸ってるし…

「これ、矢を放った内通者の仕業だよね」

「…間違いなく。ゆーちゃんの結界以外は突破出来るって相当な力だと思うんだけど専門家としてどう?」

「私達の簡易処置の結界を突破し、元の結界も破壊する…概念空間振動は名前の通りこの世界の空間という概念を破る可能性を持ちますので私の権能を使えば止めることも可能でしたが…せめて1分は欲しかったです」

 実はアディエーナ様無茶苦茶有能だった件について。


「でも問題はプライベートボックス干渉ですよね?」

「?それは何の問題も無いよ?だって空間振動で駄目になっただけでしょ?他の内容物はだいたい頑丈だったり保護掛けていたんじゃない?」

 そう言われて確認する。

 確かに食べ物は神様方に勝手に持ち出されないように保護とロック掛けているけど、ペットボトルは保護掛けていなかった。

「人のプライベートボックスはそこまで強度を高くしているわけじゃ無いし、超巨大なレンタルスペースを細切れにして提供していると思ってもらえたら良いかなぁ?」

「それだと誤解されませんか?」

「でもそんな感じで作ったから」

 あの頃はゆる姉様方も力を消費していて大変だったみたいだし…うん。

「ゆーちゃんに質問。自世界あるのになんでプライベートボックス使ってるの?」

 ?

「どういうことです?」

「?」

 いや聞きたいのはこっちなのになんで「あれぇ?」って顔してるのかな?

「…ああ!そっか!神域!ゆーちゃん神域がそのまま世界になっているから分かってないんだ!」

 突然ゆる姉様がそう声を上げ勝手に納得して終わった。

 お二方もああ、なる程って納得しているんだけど、僕納得していないんですけどねぇ!?

「えっとね、ゆーちゃんは神域を作って自分で自由に弄ったりすることなく世界ができた…できちゃったんだよね?」

「まあ、はい。そうですね…」

「そのせいで自空間の活用方法があまり分からないまま色々やっていたから本来の神々が熟す保管庫を覚えずに人の使うプライベートボックスをそのまま便利使いしていたと考えられるんだ」

 それってつまりどういう事?

「ゆーちゃんは保管庫を自分で作れることを知らないままレンタルスペース超便利といって使っていたし、セキュリティも勝手に増設して金庫ばりの耐久度にしちゃっていたって事!」

「そんなことは…ありますねぇ。おもにゆる姉様やせお姉様のつまみ食い対策とか」

 僕の呟きにサッと目を逸らすお二方。

 そっかぁ…怪我の功名的な状況かぁ…

 でも、

「泉の水で概念空間振動がおさまったって事については?」

「手を出そうとした先方に大ダメージがいったか、超高濃度の神威と概念衝突を起こして相殺してしまったか」

「私見ですが、後者の方だと思われます。狭い空間で超高濃度の神気を発した場合の神威、神気の圧力はプライベートボックスを簡単に吹き飛ばしますが、そこにちょうど”穴”ができた場合は…」

「「ひぇっ…」」

 アディエーナ様の台詞にゆる姉様とせお姉様が顔を青くしてちいさな悲鳴を上げている。

 良く分からないけど、バックドラフト現象が起きたって事かなぁ?


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