314話 ???~出店!もち麦普及活動

 ……ええっと、

 呪人族さんの町に来ていますが、往来で崇められてしまっています。

 何故に?

「いや、普通に神気だしているからだろうが」

「えっ?マイヤから?」

「友紀から。神域の…箱庭のものを食べ続け、しかもずっと神域に居たわけだから体から抜け出ることはない。更に言えば友紀、お前神だよな?神気を人以上に溜め込むことが出来るからな?」

「あ」

「…忘れていたのか」

 忘れてましたねぇ…まあ、そのまま放置で。

 僕が目を逸らしたのを見て小さくため息を吐き「さて、どうするか」と呟く。

「お前が神だという事は間違っていないからなぁ…」

 その台詞に「おおっ!」と前に居た人達が声を上げる。

「あ、でも僕は別の世界の神なので…今回来たのはこちらの神様より許可をいただいて食生活の調査に来ただけです」

「食生活?」

 皆が首をかしげた。

 まあ、うん多分そうだと思った。

 恐らく食べることは作業で楽しみや喜びなんて考えがないんだろう。

「えっと、屋台のような物を出したら何か問題ありますか?」

 その問いに呪人族の方々は首をかしげ、

「そもそも屋台とはなんでしょうか」

「出店…と言うのは分かりますか?」

「出店…お店を外に出すという事でしょうか」

「そうです。ただ、お金など対価は取りません。この近辺で取れる物で作った物を食べていただいてどのような違いがあるのかを確認したいのです」

 再び呪人族の方々が話し合う。

「金銭や物品交換でないのであれば問題無いです。それに法は我々人を律するモノであって神様には適応されませんので」

 女性が代表してそう言うと全員が頷いた。

「良かった。では邪魔にならないように端の方で作らせて貰いますね」

 僕はとおりの橋に移動して空間操作で仮想キッチンを作る。

 ───相変わらず皆さんこちらをジッと見ている。

 もち麦を脱穀して高速浸水させたあと圧力炊きの時間を使ってレクムシュケの葉を切り、液を取る。

 その際に周りから「えええっ?」と動揺の声が上がったけど無視して液を抽出してそれを軽く温める。

 序でに皮を剥がして果肉を取り熱しながら乾燥させる。

 もち麦ご飯が出来たので半分は団子を作る。

「マイヤお願い」

『わかった!』

 マイヤが現れると周りの人達が膝をついて祈りを捧げ始めた。

 マイヤがペッタンペッタンぐりぐりと叩いてすり潰す。

 そして餅が出来上がった所でレクムシュケの液を軽く掛けて出来上がり。

「一つはマイヤが食べて良いよ」

『ありがとう!』

 満面の笑みで1個食べて喜ぶ。

「え?食べられる…のか?」

 まあ、未知のモノは恐ろしいよねぇ…

 そんな事を思いながら残しておいた麦飯を少し取って俵状にし、少し平たくする。

 その上にレクムシュケの果肉を少し塗って火であぶる。

「はい。二品目」

「えっと、一つ、いただいても?」

 先程教えてくれた女性がおっかなびっくり聞いて来た。

「どうぞそちらの丸いモノはちょっと独特な食感なので気を付けてください」

 そう言うとまずはもち麦みたらし団子を一つ、口に入れた。

「!………?………!?」

 三段階の反応ありがとうございます。

 悪い反応ではないっぽいけど…


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