313話 4day PM3~カクゴ・カンリョウ

 SIDE:配信スタジオ


「対処って言われてもねぇ…ゆーちゃんが謹慎中だけどあまりにも仕事するからって完全に閉じ込めているから対処のしようが無いんだよねぇ」


『巫女様が倒れたら世界が終わる。覚悟完了しております』

『そこを何とか!』

『白獅子ニキは!?』

『神様なのに何も出来ないの!?』

『神なんて居ないんじゃね?』


「おっ?煽るねぇ~しかも日本語で書いているのにフランスにお住まいのイタリア人とかテラワロス。君の所に貸し与えられている祈念珠の効果、消して良いかな?」

「タイム~1、2箇所回れる?」

「えっ?いやッスよ。なんで師匠を貶めた人間達を助けなきゃいけないんスか?」

「…だよねぇ…」

「あの!私行きましょうか?」

「都内?意味ないよ?しかも無駄死にになるよ?今、百鬼夜行が………うん?皇居へと進路向けているみたいだから」

「えっ?」

「……あー…これはちょっと、街道上にマズイのがあるなぁ…樹神殿、ちょっと席外しても?」

「りょーかい」

 祓戸は佑那とタイムを伴ってスタジオから出る。

「一応確認だけど、覚悟はある?」

「と、言いますと?」

「今、強制的にクラスをあげる方法があるんだけど、心身共にかなりの激痛を伴うモノなんだ」

「それは構いませんが、何があったんですか?」

「そんなアッサリ…それは、ゆうくんの職場がその百鬼夜行のえ「失礼致しますっ!」…ほぉら来た」

「えっ?巽さん?兄さんは居ませんよ?」

「…伺っております。ですが、流石に百鬼夜行という大物を相手にする場合は神々のお伺いを立てねばと思いまして…」

「援軍要請でしょ?」

「お伺いだけです」

「………あー…君の身命スキルかぁ…これだから君達一族は鬼から狙われたんだけどなぁ」

「えっと、どういうことでしょうか」

「この子は自分の命を対価に強大なスキルを行使するつもりなんだよ。傍流なのに何故か使える東岳大帝招聘状…命を対価に泰山府君を呼び出せる…かも知れないというかなり微妙なスキルだよ」

「かもて…かもて…!」

「所詮傍流なので確実ではないのです…」

 微妙な顔をする佑那に渋い顔をしながら頷く巽。

「でも、ゆうくんのために死ぬつもりじゃなかったのかな?」

「平穏を守るため…職場を失うとその平穏を失う可能性がありますので。それに、商店街等も通り道となっておりますので」

「そこなんだよねぇ…というわけで、ゆなっち。どう?今ならサポートにタイム付けるよ?」

「は?なんで自分も!?」

「もし受けてくれたら…このおさなゆうくん抱き枕(試供品)を」

 そう言いながら取り出した全長140cmの抱き枕を見せた瞬間、

「「「受けます」」」

「なんで三人!?」

「ロリショタ姫様抱き枕のためなら死すら乗り越える!」

「おねーちゃんおやすみなさい!って脳内で言われながら寝ると思うと…最高!」

「今から滅ぼしてくるッス!大丈夫!リミッターを外せば下級邪神クラス数体ならいけるッス」

 変な方向に向かっていると慌てる祓戸だったが、

「巽!私が───」

「「「「あ」」」」

 そこに駆け込んできた更に上を行くヤバイ奴が一人。

 友紀と巽の上司である藤岡だった。

 藤岡の視線は巽から一瞬で抱き枕をロックオン。

 そして何かを悟ったように頷く。

「…成る程?百鬼夜行を倒した者への褒賞としてその抱き枕と…ふ、ふふふふ……」

((((やう゛ぇぇ!!))))

 その場にいた全員が藤岡の気迫に圧されてしまっていた。

「祓戸様、間違いはありませんか?」

「ぅえ!?えっと、あー…ソーデスネ」

「では、この藤岡、一騎駆けをさせていただきます」

「あ、はい…」

「では、失礼します」

 藤岡が一礼した後に踵を返し、去っていく。

「……どうしよう、段取りとか色々丸つぶれになっちゃった…」

「あんな気迫、人間が出せるもんなんッスね…滅茶苦茶気圧されたんッスけど…」

「───失礼致します」

 巽は三名に一礼するとフロアを後にした。

「……クラスアップ、する?」

「あ、はい。それはしますけど、お夕飯作ってからで」

「あ、うん。そうだね」

「……自分、夕飯の支度手伝うッス」

「ありがとう。じゃあ、いこっか」

「…うん。じゃあ僕は配信の続きするね…」

 なんだか色々な気力が削がれ、低テンションになってしまった三名はそれぞれすべき事をするために移動を始めた。


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