7話 TS化した僕は説明を受ける
「ああ、出てきましたね」
僕が告解室からでたらあの三人ではなく巽さんが待っていた。
[巽さん今日は夕方から?]
「はい。今日は夜勤で明日一日オフです」
[そっか。夜勤頑張れ!ですよ]
「ウッ!?頑張ります。あの、今朝の件で少々お話しがあるのですが」
[ここでは目立つのでブースに戻ってからにしようか]
僕はカジュアルモードに戻ると告解室も溶けるように消えて無くなった。
「ああっ!?」
巽さんの悲鳴は無視し、そのままブースへと向かう。
───巽さん以外の複数人数の悲鳴も聞かなかった事にします。
「改めて岩崎様。我が一族の悲願、二重の呪詛を解呪していただき誠にありがとうございました」
ブースに着くなり巽さんがそう言って深々と頭を下げた。
いや、そもそもその呪いって何ですか?と言う状況なんですが。
[僕が解呪したって言われたけど、一族の悲願って言うレベルの解呪は出来ないと思うんですけど]
「いえ、確実に解呪されていますし、実家の『鬼の目』と呼ばれていた水晶も割れていたとの事でしたので間違いなく呪いは消えています」
[よく分からないけど、良かった良かった]
「これまで何人もの聖職者が解呪を試みて失敗し、非業の死を遂げていました」
えっ?
「呪詛と呪物呪詛の二重螺旋で互いに補完しあうと言う特性で、更には我が一族全員を対象とし、死の際の無念を糧として成長する厄介な代物でした」
[解呪失敗で死って……]
「鬼の呪いに食い殺されたという事です」
[僕、知らずにやっちゃってたんですが…]
「はい。私も岩崎様がまさか解呪を試みるなんて思いもしませんでした。ただ、以前から妖魔憑きに対して準備もせず気軽に破邪を行う様子からただ者ではないと私達の班では話題に上がっていましたが」
[破邪ってそれが普通の使い方じゃないの!?]
「通常、呪い憑きや妖魔憑きなどで運ばれてきた場合、簡易祭壇を設けて心身を浄め、結界を構築して対象を封じて数回、もしくは数名による数十回もの破邪を用いるものですが…」
まったく知りませんでした。
[だって課長からレクチャー受けた時は妖魔憑きは妖魔を引き剥がして斬り捨てろって…僕はそれが無理だから一生懸命スキルをくれた神様にお願いして何とかしてもらってたよ]
「…えっ?」
[?どしたの?]
「スキルをくれた神様にお願いして、何とかしてもらっていた…?」
[うん。だって神の御名において不浄を祓い給えって言うでしょ?だから神様にお願いします!って。そしたら「しょうがないにゃ~」って払ってくれるんです]
「しょうがないにゃ~、ですか?」
[うん。聖女時代はそうだったよ]
そう言えば慈母になってからは一回も聞こえていないかも。
「神託スキルは存在しないとされていましたが……」
[神様方、結構フレンドリーに話しかけてくれるよ?先月課長と僕で解呪したダンジョンから出たってアイテムも神様が『いっちゃんの上司と一緒に作業しないと危ないよ?破邪すると内包されているモンスターが飛び出すモノだから』ってアドバイスを受けたから課長に相談して破邪作業を行ったし]
「課長!課長!?」
「なんだ巽。まだ時間じゃないぞ」
「そうではなく!神託スキルについてです!」
「あー……岩崎のみの固有未表示スキルで他言無用。以上だ」
「宗教機関から毎週確認来てましたよね!?」
「報告したら岩崎が連れて行かれるじゃないか。嫌だぞ?」
「───岩崎様は渡しません!」
「あいつら権力ごり押ししてきそうだからなぁ…だから無視一択だ。ただ、今回の件でちょっと揉める可能性が出てきたんだけどな」
[あの、僕拙い事やってしまいました?]
良かれと思ってやった事が大惨事系ですか?
「岩崎。少なくとも特務課では絶対に口外しない事で一致しているから安心しろ。ただ、今朝の突撃やらで何が外に漏れているか分からん。十分に気を付けて欲しい」
それ聞いたら怖くて帰れませんが!?
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