89話 説明~何を言っているのか分からない件
「───そろそろ説明をしても良いか?」
兄さんの台詞に僕達は兄さんの方を向き…その周辺にへばりついている妖精を見て固まった。
「やーです!おにーさんはわたしとけっこんするの!」
「今はちょっと待って!見つかっちゃマズイから!」
「…ねえ、あの人、私達、見てない?」
[君達、兄さんが怒る前に…ああ、いいや。手遅れみたいだし]
「これくらいでは怒らんよ。邪魔だから弾くが」
直後、パチンと音がして妖精と思しき3名は吹き飛ばされた。
「さて、説明をするが…」
[兄さん]
「どうした?」
[佑那達見て?]
「…はぁ」
「ため息ありがとうございますっ!」
「夏の狐汁は、流石になぁ…まあ、喰ったことは無いが」
「せっ、性的な意味であればぁ…」
[皆さん。兄さんを茶化すのは最大でも連続2回まででお願いします]
「あっ、はい」
[兄さん。説明をお願いします]
「───了解した。まずはこの家の件から話すか」
[………洒落にならない話なんですが?]
魔改造にも程があるよ!?
「まあ、そうだろうな…」
[佑那は知っていたの?]
「っ!知らなかったよ!?」
でしょうねぇ…
兄さんの話を三行要約すると、
・妖精達が保護を求めてきたから許可したが、怪しげな連中の襲撃が増えた。
・妖精達が対策として妖精の迷い粉を常時撒いているため、幻惑される。
・兄さんが空間をいじり、迷い粉の幻影にマッチした実体のある幻影爆誕!
───まとめきれてないなぁ…
って言うか何!?実体のある幻影って!
「あと、隣の駐車場の件は変な連中がずっとそこに車駐めていたから買い上げて敷地にしただけだ」
[うん。さっきの話聞いたらそれは思いっきりどうでもいい話だね!]
「どうでも良いってお前…」
少し苦い表情をする兄さんだけど、実体のある幻影の方がインパクト大きいからね?
「妖精自体初めて見ましたし、幻影とか私見ていないのですが?」
「この家に住んでいる人間には掛からないように調整してあるからな」
無駄に高性能なんですが!?
「しかし、簡単に気付かれるとはな…修行が足りないな」
僕気付いてはいないんですが!?
「そういえば…」
佑那?
「先々週、うちの周りをウロウロしていた不審者って、この子達を捕まえに来てた?」
「だろうな」
「……」
まさか…
「どうした?」
「正当防衛だからいっか!」
いや何が!?
「人の家の前で何やってるんですか?って聞いたら襲いかかってきたから倒しちゃった」
「………おい?」
「あっ!大丈夫!兄さんの知り合いの…磯部さん?に連絡して引き取って貰ったから!」
[うちの妹が人をゴミのように扱う件について]
「見るぉ、人ぐぁごぉぉみのようだ…ぞ?だったかな?」
[誰だ兄さんにム〇カ風若〇ボイスを吹き込んだのは!]
「兄さんの友達だよ」
[僕が居ないのに遊びに来ているの!?]
「毎回ゲームやアニメ置いていくなぁ…お前の部屋に積んでいる」
[それ、物置扱いしてない?]
「まあ、それはそれでいいかな、と」
……こういう所、兄弟だなあ…
そんな事を思いながら周辺を見て、少し気になった。
兄さん。なんか、内装が少し新しい?
「あー…やっぱりそこまで気付くか」
えっなに?
「新しいというか、定期的にしか使っていない」
は?
「普段は収納していて、別の家を使っている」
「今朝こっちに戻したんだよ!」
意味が、分かりませんよ?
あと、佑那無茶苦茶やってるの知ってるじゃないか!
「空間操作のもう一段上に面白いモノがある。それが出来ればそう言うことも出来るぞ」
[この兄さん何でも無いことのようにとんでもない事言ってますよ!?兄さんしか出来ないと思うからあまりホイホイやらないでね?]
「善処しよう。多分」
あ、これ善処するつもりないな…
「………」
巽さんが思考放棄した顔してるぅ…
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