90話 鉄火~女性関係修羅場な兄で飯が美味い?

 で、隣にいる自称玉藻さんは?

「自称ではないのですが…」

「昨日力尽きているのを拾って体力がある程度戻るまで面倒を見ようと思ってな」

[兄さん…いい加減にしないと女性に後ろから刺されるよ?]

「何故?」

[佑那。兄さんに教えてあげて?]

「ええ。中条静留さんは兄さん待ちですね。小川真子さんはストーカー…なんであの人結婚しないのでしょうか。あと、リアさんとライラさん、エリザベートさん…までは私が把握している女性関係です。男性はゼロになりましたね」

[一人ストーカーってカウントされているんですが兄さんの友達ですよね?僕が知っているのはイギリスのリアさんとアメリカのライラさんまでですが…エリザベートさん?]

「中条グループのお付き合いでドイツへ行った際にゲットしたらしいですよ?」

[兄さんェ…ポ〇モンじゃないんですからそうホイホイゲットしないでください…]

「…友達だぞ?」

[兄さんは凄い数の友人なんて要りませんからね。トラブル確実ですし]

「この女性陣が定期でうちに来る際の私の苦労は…」

[ストーカーであれば友人のカテゴリーから除外しよう?]

 比較的まともだった記憶があるんだけどなぁ…

「その中に私も混ざると…大奥って、現在で認められていましたか?」

[今のところ認められていないので諦めてください]

 あと、玉藻さんって昨日僕を襲った仲間ですか?

 その台詞と同時にギシリと空気が固まった。


「襲われた?」

[兄さん落ち着いて]

 まさかの僕以外全員が怯えていますから。

[僕をどうこうできる相手ってほぼいないんですから守備特化ですよ?]

「…そうか。しかし、コレを見てそう言ったという事は」

[あの部屋ではなくフロアにいたのである程度の力を保つ方です]

「………そうか。逆恨みか」

 あ、これスイッチ入った。アカンタイプや。

 兄さんは静かに怒っている。これは本気で拙い。

[怒るのは良いんですが、兄さん。ゆる姉様と伊邪那美お母さんもキレていましたし、今頃伊邪那美お母さんが乗り込んでいます]

「……ならその次だな。できる限りの責め苦を与えてやる」

 わぁお…とんでもない事になってますよ?

[と言うよりも、皆さん犯神分かっていると]

「ああ。狐を使いとして使うのは限られる。コイツは渡りはぐれだから問題は無いが…此方が狐関連で関係した神は一柱だからな」

[相手ガバガバですやん!]

 しかし分からない事もある。何故リスクを冒してまで僕を襲うか。

 兄さんを狙うとヤバイと言うのは分かる。

 佑那を狙おうにも兄さんがガードしていそうだから無理。と言うのも分かる。

 僕の後ろに誰がいるか分からないはずがない。

 神域に出入りしている以上、僕がどんな立場なのか───あー…

 そっか。たかが神子風情と思われていたのか。

 納得してしまった。

「───はい。よろしくお願いします」

 って、巽さん?

「失礼致しました。姫様に害をなした神が居ると聞き、思わず廃社にできないものかと相談をしたのですが…とある神社に先程黒い雷が落ちたとのことで」

[伊邪那美お母さんの八雷神では!?]

「本気だな…」

[兄さんも少し引き気味な感じですね]

「いや、流石に本気で殺しに掛かる事はないと思っていたが…」

[お母様は愛が重いから]

「それを普通に接して言えるお前が凄いと思うぞ?」

 兄さんほどではありませんっ!


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