91話 襲撃~負ける可能性さんが迷子な件
暫くの間兄さんを宥め、ふと佑那を見る。
───妖精と普通に戯れてるぅ…
あと巽さん。今がチャンスとばかりにおにぎり食べないで?玉藻さんがすっごい顔でガン見しているので。
「えっ?ちょ、凄い神気を感じるのですが!?」
まあ、そうでしょうねぇ…
何故だろう。大妖である玉藻さんの方が一般人のような反応…なんだか嬉しくなりますね。
なんだか少しほのぼのしていると、突然チャイムが鳴った。
[?お客さん?]
「ああ。招かれざる客だな」
えっ?そんな人がチャイム鳴らすの?
訳が分からずに首をかしげる僕に佑那が手を挙げた。
「今度私の番!練習もしたいし」
えっ?
「7名だが、問題無いか?」
「勿論。修行の成果、早速見せられるわ」
あるぇ~?妹が好戦的になりすぎている件について。
「じっくりと観戦しておくぞ」
兄さんはそう言ってテレビの電源をつけた。
[いやいや、待って!?相手の状況は分かっても強さとか戦力が…]
「女神からあんなチート装備貰って何かあると思うか?」
あーーーーーー…なーんもいえねぇーーー。
「まあ、だからといってそういったものに頼るような戦闘方法した日には殴るが」
殴るんだ…
「まあ、今回は一人以外は特殊部隊クラスだから問題は無いだろう」
[待って!?今もの凄く不穏な台詞が!]
「女騎士になる前から探索者を倒せる技能だぞ?」
万が一すら起きる可能性は無いと…
「敷地内に入ったな…始まりだ」
えっ?全員消えた?って、これ転送!?
「始まるぞ」
兄さんの台詞に僕は慌ててテレビ画面に映し出されている闘技場を見つめた。
───異空間闘技場───
突如視界がゆがみ、次の瞬間にコロッセオのような場所の中央に飛ばされていた7名は素早く円陣を組み、銃を構えた。
『ようこそ招かれざる客よ』
姿を現した木製人形に向け彼等は一斉に発砲し、数名がその場に倒れた。
『おや、話を聞かない人がいるようだが…私に飛具反射の機能が付いておりましてなぁ、気を付けるよう忠告しようとしていたのですが、遅かったようですね』
木製人形は仰々しくお辞儀をして言葉を続ける。
『挑戦者は7名。密猟者であり、組織の暗殺者部隊6名と悪霊をその身に宿し戦う部隊長。対するは女神の加護を得た女騎士1名…これまで数々の悪人を成敗してきた戦乙女の出陣です』
奥の扉が開き、バトルドレス姿の佑那が姿を現した。
それと同時に全員が一斉に発砲するも間にいた木製人形によって反射され、一人が被弾する。
『───いやはや学習能力のない挑戦者ですね。早く隠し持っているポーションを使って回復して戦闘に備えてください』
木製人形の言葉に従うよう、怪我人達はポーションを飲み、何事もなかったかのように立ち上がる。
佑那の方も虚空よりポールウエポンを取り出して軽く横に構え、臨戦態勢となる。
『では、バトルスタート!』
木製人形が合図とともに消え、襲撃者達は即座に佑那へ向け発砲するも、そこに佑那はいなかった。
「!?」
数名の襲撃者が側面に現れた佑那に対して反応するが、その前にポールウエポンの横薙ぎによって3名が吹き飛ばされた。
慌てた一人が腰につけていた手榴弾を外すとピンを抜き2秒で佑那へと投げる。が、それに対し一歩踏み込みながら石突き部分で打ち返し、流れるように一人吹き飛ばしてバックステップで離脱。同時に手榴弾が爆発した。
『二名意識不明の重体となったので回収されます』
そのアナウンスに慌てた襲撃者は未だ立てない者達の側に走り、装備を回収する。
『これは過去にないワンサイドゲームだ!銃を持っていても手榴弾を使っても勝てない虚しいバトル。挑戦者の次なる一手はなにか!』
煽るアナウンスに襲撃者は、何も反応を見せず佑那を視界に入れながら弾倉の入れ替えを行う。
佑那がポールウエポンから剣に持ち替え、一足の踏み込みと共に襲撃者達へと接敵した。
襲撃者達はそれに対し扇状に散開しながら全員が佑那目掛けて発砲。
十字砲火への誘い込みと同士討ちを避けるための策だったが、そこで佑那は剣の腹を正面に向けた構えで超高速の正面突破を図ったのだった。
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