156話 感涙~巽が泣くなんてよっぽどですわ!
巽が私を見て呆然としていますが…一体…?
自身を軽く見回す。
服が違いますわね…髪型も何かおかしい…というよりもボリューミー?
姿見がないと分かりませんわ。
「鏡が必要ですわね…」
「此方に!」
タイムが姿見を持って姿を現しましたね。
「ありがとうタイム」
「はいッス!」
ふぅむ…金髪で縦ロール。ややつり目気味…これは私ではなく、佑那が悪役令嬢をした場合ではないのかしら?
服装はドレスではありますが…紺一色で床に着くほどのロングスカート。
スカートを少し摘まんで持ち上げると僅かに重い───恐らくチェーンなどの僅かな重りが数カ所入っていて、乗馬の際に翻らないようにでしょうね。ああ、だから右足の部分が僅かに丈が短いのですわね?
質素な乗馬用のドレス…近代のドレスですわね。
ゴージャスなドレスだった場合は如何に神様とは言えクレーム案件でしたわ!
【せお:セーフ!セーフだよね!?】
ええ。グッジョブですわ!
【せお:違和感なさ過ぎて脳がバグる…】
「あの、姫様……?」
巽が再起動したようですわね?
「ええ。巽。おかえりなさい」
「姫様が、ようやく呼び捨てに…」
突然巽がポロポロと涙を流し始めたのですが!?
「巽!?貴女やはり疲れているのではなくって!?課長さんと同じで貴女も働きすぎで情緒不安定になっているのですわ!」
「───いえ、これは…姫様に…、呼び捨てにされた、事が…嬉しくてですね…」
「ぇえー?」
困惑する私に。
『分か(↓)るぅ~(↑)』
皆さん深く頷いておられるのですが!?なんなんですの!?
「お嬢様に呼び捨てされた!従者として認められた気がして嬉しい巽であった」
───課長さん。鼻を押さえているせいか、どこぞのアニメナレーションに似ているのですが…?
「後半へ続く」
ぜってぇ突っ込みませんわ!
「…っく…。失礼しました。姫様、こちらを」
巽が書類ケースを差し出してきましたが…
「これは?なんですの?」
「マンション及びその土地の権利書です。すでに全ての権利は姫様に書き換えも完了しております」
「早すぎません!?」
「用意はしておりました。今回の件で急遽売却交換条件として合意したいとの事でしたので代理人署名致しました」
「でかしたわ巽」
「ありがたき幸せっ…!」
いちいち感動されても困るのですが…
「それで、リークの件に関しては?」
「はい。メディアに此方からのリークと言う形で流した他、鑑定含め政界各所へ。カナダとスペイン大使館へも連絡致しましたが…すでに課長が根回し済みでした」
「それでどうにかなりそうですの?」
「牽制にはなるかと。火消しに時間がかかるものの、致命傷にはなりませんので」
やはりまだ手が足りないのでしょう。
「此方が無関係であることを大々的にアピールは致しますわ。それと版権については…」
「其方については権利団体より事前手続きと請求が都度来るかと思われます」
「…まあ、そういった権利関係の消失した昔の賛美歌等を歌うしかありませんか…1、2時間で覚えきれるのか不安はありますが…仕方ありませんわ!」
「お嬢。どうやら艱難辛苦が降りかかってきたようだぞ?」
課長さんがそう仰ってスマートフォンを私に見せてくださいましたが…
「何ですの?巫女様に歌って踊ってもらいたいプロジェクト…何なんですの!?」
そのサイトには4つのジャンルで14曲のオリジナルソングと歌詞、振り付けが掲載されておりました。
「無駄に洗練されたスレ民と信者が化学反応した結果、芸術が爆発したと…絶対野生のプロの犯行だろうな…」
「賛美歌風(3)、神楽調(4)、ポップ(4)、電波(3)…電波って何ですの…?」
いやそれよりも短時間でこんなに作れる物なのですの!?
驚愕する私に、
「ポップ項目に一曲追加されたようだぞ?よかったな。これで心置きなく歌って踊れるぞ!」
愉快そうに仰る課長さん。
皆さまお暇ですのね!?
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