901話 今日はみんなで宴会だ!


 えーっと、

 現在、宴会真っ直中です。

 宴会場を神域で包み、四方を念のため結界で強化していたり。

 神兵さん達も白城さんとメリアさんも食事に舌鼓を打っています。

 神様方も…ゆる姉様、せお姉様、ミツルギ姉様、伊邪那美お母さん、アディエーナ様、ウェスタ様、石長比売様、神阿多都比売様、ハヴァスターイ様が参加。

 課長と巽さん、マイヤ、リムネー、タイムさん、フィラさん、廣瀬お姉さん、ラヴィお姉さんも喜んでいる。

 僕を入れて30名

 さて、あと一人だーれだ?


「忘れられてると思ってました…」

 正解は、箱庭の西、及び秋を司る龍田比売様でした。

 これで主要メンバーですね!

 THE農家!メンバーな方々は最近1階食堂で食べているので除外です。

 じょマッチョな大宜都比売神様は今も畑を耕しているんだろうなぁ…

「……あの、兄さん…」

「なぁに?」

「そろそろ、足がしびれて感覚がデスネ…」

 佑那が涙目でそう訴えてきているけど、もう暫くそのままでどうぞ。

 はい。

 乱入者は佑那、大山祇様、天之御中主様、そして…何故か大物主神様だった。

 大物主神様は巻き込まれただけっぽかったのでみんなと楽しく食事しています。が、残りは部屋の隅で三人仲良く畳へ直正座での食事です。

「はっちゃけちゃってもいいじゃない、神さまだもの。 アメノ」

「ボッチ飯が嫌なのできました」

「酒飲んでたら飯だと言われてきただけだが?あと風の便りで蟹がでると聞いた」

 うーん…佑那はギリ許せる。

 ただ呑兵衛お二方はギルティですね。

 あと蟹は無いです。

 ただでさえ一人15,000~18,000位の料理に更に蟹付けろとか笑えないですよ!?

「佑那、みんなと合流を許可」

「あざます…でも3分間舞って…違った。待って」

 佑那、ダウン。

「じゃあ私が代わりに3分間舞ってやろう」

「天之御中主様。そういうのは、良いんで」

「(´・ω・`)ソンナー」

「ごふっ!?……ちょ、主神がする顔じゃねぇって!」

「失礼致します…」

 あっ、女将さんが…神域に入ろうとして固まってる…当然と言えば当然だけど。

「僕が運びますので…」

「申し訳ありません」

「いえ、流石に常人が神域に入るのは辛いと思いますので」

 そう言いながらお酒とジュースを受け取る。

「天之御中主様、大山祇様、お酒も来ましたので…変な事しないで下さいよ?どうぞ皆さんと食べて下さい」

「ありがとう、ありがとう…」

「っしゃ!飲むぞ!」

 威厳が消失している神様方…

 お酒とジュースをどんどん渡していき、行き渡ったところで僕は一度広間の外に出る。

「女将さん、お手数をおかけし、申し訳ありません」

「いえ、神様が当旅館の料理をお召し上がり下さるなんて名誉なことです」

「日本の神様は7名だけですが」

「お目に掛かれただけでも末代までの語り種となりましょう」

「笑い話の種にでもどうぞ」

 僕の言葉に女将さんがクスリと笑う。

 そして僕に深々と頭を下げた。

「巫女様。世界を救っていただきありがとうございます」

「いえ、救ったのは課長と巽さんです。僕はお手伝いをしたに過ぎませんので」

「貴方様が神様方を助け、慰めていたからこそ今こうして居られるのです。妖怪やモンスターが襲いかかってきた際、冥土通いのダンジョンから地獄の鬼達が出て来てそれらを退治してくれました。そこで鬼達は「岩崎の兄ィへの恩返しだ」と言っていました…」

「えっと、その岩崎は僕ではなく兄さんです。だから頭を上げて下さい」

 舎弟な鬼さんどんだけいたのさ…

「ええ、存じております。私事ですが、その鬼に母が助けられたのです。他にもスタッフの中にも鬼に助けられた者がおります」

「兄に伝えておきます」

「鬼は貴方のことも言っておりました。巫女様への一飯の恩はこういう時でないと返せないから、と」

 ───鬼にご飯あげた記憶ないけどぉ…あ。

 兄さんが大量のおにぎりを作るって言った時に僕手伝ったわ。もしかしたらこれかな?

「情けは人の為ならず…ですね」

「貴方様は見返りを求めず神々を慰撫し続けてきた結果が今なのです。神仏が側に居ても形だけの祈りしかしてこなかった私達が…こうして神々を持て成せたことは、本当に…っ、嬉しいことなのです」

 ポタ、ポタッと水が垂れる音が聞こえる。

 そっか。ここ、その関係の御用達の宿だったわ…

「女将さん。頭を上げて下さい…助けられなかった人も居ます。偶々僕だっただけです。ここの鬼達に関しても本当に、兄が色々お膳立てをしたようなものですから。助かったことはラッキーで済ませて下さい」

 僕がそう言うと女将さんはゆっくりと頭を上げた。

「───お見苦しいものをお目にかけて申し訳ありません」

 女将さんはハンカチで目元を軽く抑え微笑んだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る