900話 その後の酒蔵巡りと…


 とりあえず佐々酒販店に連絡してこの酒蔵さんと取引可能か聞くと喜ばれた。

 どうやら京都方面は販路的にちょっと難しいケースがあるらしい。

 両方ともオッケーという事なのであとはそれぞれで話し合って欲しい。

 そして、どうせすぐに宴会するだろうからと各10本を神様方に渡し、残りは僕のプライベートボックスに放り込む。

「他にこんな感じの酒蔵さんってありますか?」

「あれだけ買ってまだ行くんですか!?」

「……神様方、場合によっては10斗とか飲むので、買えるときに買わないといけないんですよ…」

「………ちょっと離れた所にありますので、案内します」

 運転手さんはさっきの呑兵衛達を見て納得したように頷いた。



 疲れた。

 あの後2ヶ所行ったけど、1ヶ所はちょっと宜しくなかった。

 代替わりをしたらしく「売れる酒を!」とか言いながらもあまり好ましくない雰囲気を纏わせていた。

 そして僕たちを見た瞬間に大はしゃぎ。

 すぐさま回れ右したかったけどまあ、紹介してくれたし…と思ったら運転手さんが「帰りましょう。ドラ息子が後を継いだんならこの蔵もお終いだ」と言い切ったので僕らもタクシーへとUターン。その場を後にした。

 そして次の酒蔵は結構離れた所で、近くの公園駐車場に車を駐車して向かった。

 ここも小さな酒蔵だったけど、売れているらしくてそんなに沢山買うことはできなかった。

 ただ、売れているといっても年々お米の調達が難しくなってきており出荷数が減っているのもあるのであまり喜べないと苦笑いしていた。

 なので、

「10俵あったら作ってもらえますか?」

 と聞いたら「お米の持ち込みですか!?えっと、人件費や諸々の計算が必要ですし…」とかなり焦った様子だったけど、巽さんがその人を連れてちょっと離れた所でそれらに関する事務的な事は政府と関係省庁で行う事を説明した…らしい。

 結果、ここでも試しに造ってもらえることになったので11俵ほど渡し、手付けとして50万円を先に渡した。

 手付けなので後で───と言いかけたら巽さんが、

「関係機関が支払います。姫様が支払われた場合、面倒なことになりますので」

 と、結構な圧をかけてきたので大人しく引いた。あと、50万は返された。

 一応ここでも7万円分は買ったし、いいかな…


 で、旅館へと到着し運転手さんに金額を聞くと…何故か25,000円で良いとのこと。

 何故?と思ったら予約に切り替えていたらしい。

「そっちの方がお得ですし、何よりも巫女様ご一行を乗せたんですからそれくらいの手続きしなきゃ罰が当たりますわ。本当はタダって言いたいんですけど商売なんで」

 と笑顔で答えてくれた。

 運転手さんにお礼を言って車を降り、旅館に入ると女将さんが出迎えてくれたので挨拶をして夕食についてちょっとお願いをしてみる。

 それは、あの広間を借りて食事をすること。今度はあの場所で神々と宴を開くこと。

 勿論無茶を言っていることは分かるのでお金は出すし、無理なら無理と───

「承りました」

 えっ?

「ご予約を頂いた際、その旨言付かっております」

 部長…やっぱり出来る人は二手三手先を読んでいるのか…と、ちょっと唸ってしまった。

 聞いたら31名分の食事と40名分のお酒を用意して欲しいと言われたので了承しておりますと…更には念のためにと後4名分は確保してあるとのこと。

 主要神様方とうちのメンバー、あわせて31名。佑那や他の神さまが3名乱入しても問題なしって…神対応過ぎない?普通昨日の今日でOKしないよ!?


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