899話 多分すっごい試飲会
「正座!」
「「はいっ!」」
「どうして貴方達はお酒と聞くとそう我を忘れて飛び付くんですか?仮にも主神とまとめ役ですよね?他者へ自身の力と存在の正当性をしっかりとアピールしないといけない状態なのにどうしてそうフラフラフラフラと飲み歩いているんですか!百歩譲って天之御中主様は裏で必死にこの国だけでは無く世界を守るために動き回っていたから良いですけど、大山祇様!貴方はディフェンスすらしていませんでしたよね!?聞いていますよ?石長比売様は貴方のことを庇っていましたけど隠れて神女にちょっかい出していたり色々オイタしていたようですね?娘に知られていた今の気持ちはどうですか?恥ずかしいですか?誇らしいですか?そもそもここなら本来貴方では無く大山咋様管轄ですよね?どうして貴方が出て来たんですか?ああ、数百年前のお酒での失敗も神阿多都比売様から聞いていますがそれもここで暴露しましょうか?ゴールデン街のお店数軒からアメさん宛と手紙やクーポンなどがうちに届いているんですが、この件も含め…」
「「いえ、なんかもう済みません…」」
「なっ、なあ…何か巫女様の方が上みたいな状態になっているんだが…聞いてると途轍もなく凄い神様方なんだろ?大丈夫なのか?アレ」
突然始まった公開説教に社長さんがオロオロしながら課長達に聞いている。
「他の神様方に対してもああいう風にお母さんしているのでいつもの光景です」
「だな。オンオフの温度差で死んでしまいそうになるがだいたいこんな感じだ。余所の神話の神も」
それに対して2人はなんか悟ったような顔でその光景を見ていた。
ちょっと神域を広げ、大山祇様の保護者として伊邪那美お母さんを呼んでせお姉様含めた4柱の神を含め試飲を行うこととなった。
「ええっと、コッ、こちらが左から、ふちゅうしゅ…いや、本醸造と吟醸酒、純米酒と純米大吟醸酒です」
そう言って出されたお酒を神々が試飲する。
「この本醸造は水みたいですが、燗にしたら化けると思います」
「うまい!ただやっぱり俺は純米系が良いな」
「でもこの吟醸酒、大吟醸じゃ無いの?シャープさとかそれっぽいんだけど」
「うーん、たぶんこれ、美味しいものを飲んで欲しいって大吟醸をあえて吟醸として出しているかな」
神様方がワイワイと飲みながら語っている。
そして全員の結論が、みんな美味しいから全部買って…だった。
「百両あれば足りるだろ?」
大山祇様が大雑把なことを言い出した。
「それを換金するのが大変なんですよ…だいたい巽さんにお願いしていますが!」
「一応年代にもよりますが一両8~10万円として買い取らせていただいています」
「おっ?ならタンクで買えるだろ。恐らくここは規模的にそんなに大きなタンクでは作っていないはずだ」
「言い方ァ!」
「貴方は毎度毎度言葉の使い方には気を付けなさいとあれほど…」
「伊邪那美様首は、首は勘弁っ!」
なんか、コントが始まっているけど放っておこう。
「とりあえず、今各種どれだけありますか?」
「ええっと、四合瓶と一升瓶それぞれありますが…少々お待ちください。今リストを出しますので」
そう言ってレジの隣にある少し古めのパソコンを操作し始めた。
そして数分後、現在この蔵にあるそれぞれの本数のリストを受け取った。
「一升瓶は売れていますか?」
「…いえ、四合瓶が主でして…殆ど売れません」
「ではこのリストにある各種一升瓶を全て買います」
「!?」
これくらいなら手持ちのお金で足りるし。
───金銭感覚麻痺してるって言わない!分かってるから!でもこの神様方それくらい普通に飲むから!しかも知らないうちに奥で宴会してるから!
「あの、かなりの量になりますが…150万は超えますよ?」
「今手持ちで280万はありますので即金で大丈夫ですよ」
「え゛っ!?」
190万円ちょい分の日本酒を購入。オマケとして甘酒と酒粕を大量に貰った。
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