362話 買い出しと再会

 協会を追い出されちゃった(はぁと)

 ───失礼。早く帰って休むようにときつく言われちゃいました。

 そして僕は現在…商店街に居ます。

 真っ直ぐ酒屋さんへ向かっているのです。

 巽さんが「ぇえ?」って言ってるけど、仕方ないじゃないですか。

 確保しておかないと怖いですもん。

「いらっしゃい。おや、久しぶりだね」

 店員さんがニヤリと笑う。

「日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーそれぞれ大容量のものを用意したよ」

 店員さん流石です…

「では日本酒4樽と焼酎2樽、ワイン2樽、ウイスキー3樽ください」

 半分は箱庭で保管だけど…もう少しいるかなぁ?

「樽の大きさはいつものかい?」

「はい」



「いやぁ…また発注しないと」

「無理はしないで下さいよ」

 会計を終えて息を吐く。

 毎度数百万飛ぶのも…ねぇ。

「大丈夫大丈夫。今はそこそこ売れているからね」

 店員さんはカラカラと笑いながら漬物の袋を3袋僕に渡す。

「オマケだよ。酒のつまみやカレーのお供にどうぞ」

「ありがとうございます」

「しかし、災難だったね…」

「仕方ないですよ。目立ちすぎると叩かれるのはいつもの事ですし」

 僕の苦笑に店員は「もう少し怒っても良いと思うんだけどねぇ」と僕と同じように苦笑した。

 酒屋を出てチラリと商店街を見る。

 特に問題らしい問題は起きていないようだけど…妖怪って…んんんっ?

 大きな猫が歩いている。

「っ!?」

 巽さんが攻撃しようと動き出すが、

「巽さん待って!その子知り合いだから!」

 僕の声に巽さんが動きを止める。

「知り、あい?」

「んっ?んんんっ!?」

 猫が僕の方を見て目を見開く。

「久しぶりだね」

「……気付いておったのか?」

 そう言いながら近付いてくる猫に僕は頷く。

「あそこまで人の言葉が分かる猫って…いないと思うし。

「まあ、そうじゃな」

「この商店街とかを護ってたの?」

「ああ。それと九尾が其方の実家周辺を護っておる」

「あー…兄さん、まだ野に放っていなかったかぁ」

「野に放つって…まあ、しょっちゅう言っておったな」

 猫なのに器用にため息を吐く。

「他にも犬とか鴉とかいたはずなんだけど…まあ、うん。あの子達は全国に散っているんだろうなぁ」

「其方の兄はどうした?」

「異世界」

「………まあ、そうさな…あやつなら神を殴り倒しかねないが、其方からもかなりの神気を感じるぞ?」

「でしょうね。僕、今神域に住んでいるし」

「………本当に、お主ら兄妹は…」

 なんか無茶苦茶呆れられた!?

「うーん…うち来る?」

「いや、今はいい。少し行った大きな建物じゃろ?何かあれば連絡を行う。その際には人の形を取るのでな…門番などがいれば伝えておいてくれ」

「うん。分かった。ありがとうね」

「恩返しの一環じゃ。それに商店街の人間は食事をくれるしな」

「あ」

「どうした?」

「マンションが無理そうなら協会に来てね」

「協会…ああ、広い駐車場のある建物か。分かった」

「僕か、巽さん…彼女がいる時であればすぐに連絡が行くと思うから」

「分かったのじゃ」

「それと、はい」

 僕はおにぎりを渡す。

「なんぞ凄い神気を感じるのじゃが!?」

「お腹壊しそう?」

「いやいや…これをくらうと妾の力がだいぶ増すんじゃぞ?」

「?良いんじゃない?」

「……のぉ、巽とやら。こやつは妖怪にも普通に対応しておるが」

 困惑した声で巽さんを見る。

「まあ、姫様ですから」

 ため息交じりに言う巽さんに「お主も苦労しているんじゃな」と同情するような声を出した。

 解せぬ…


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