59話 TS化した僕はお夕飯を作る
[さてさて、僕はお夕飯を作りますね]
僕がそう言って席を立とうとした時、
「僕筑前煮!」
「あ、豚肉の生姜焼きで」
「温かいお味噌汁を」
「ご飯に合う甘い料理!」
せお姉様、ミツルギ姉様、伊邪那美お母さん、ゆる姉様が希望を挙げる。
───伊邪那美お母さん、だいたい温かい物なので安心してください…ちょっと悲しくなりましたよ!?
[折角だから食べていく?]
「…良いのでしょうか」
佑那が伊邪那美お母さんを見る。
「ええ。賑やかに戴きましょう」
「ありがとうございます!…にっ、姉さんの料理、久しぶり」
そこは無理に直さなくてもイインダヨ?
ご飯を結構多めにセットして戦闘開始。
キッチン前に立ち、食材を用意する。
里芋入れる入れないで喧嘩になりかねないけど…まあ、入れよう。
生椎茸があるので今回はそんなに手間でも無い。
汚れのない綺麗な椎茸だし、軸は手でひねると簡単に取れた。
人参やれんこん、ゴボウ、里芋は皮をむいて乱切りで一口大より少し小さめくらいに切る。
蒟蒻は…ちょっとすりこぎで叩いた後に一口大に手でちぎる。スプーン使ってもいいけど。
小さな鍋を二つ出して蒟蒻と里芋をそれぞれ数分程度茹でる。
茹でている間に鶏肉をとりだし一口大に切る。
少し大きめの鍋にごま油を引いて熱した後で鶏肉を投入して焼き色をつける。
焼き色がつくまでの僅かな時間で蒟蒻と里芋を鍋から取り出して軽く水切りをする。
そして人参、レンコン、ゴボウ、蒟蒻を焼き色のついた鶏肉の入った鍋に投入。
中火で野菜類にごま油が絡んで全体が馴染む程度に炒めた後に里芋と椎茸を投入。
ついでに4倍濃縮のめんつゆ80ml、水200~300ml、日本酒30mlくらい入れて蓋をする。
だいたい10分くらい煮込む間に豚肉の生姜焼きと…カボチャの蜂蜜醤油煮、豚バラのお味噌汁にチャレンジするか…
「姉さん、普段あんなに運動神経死んでるのに料理の時だけハイペース」
「大分洗練されているな。動きもかなり速い」
「ああああ!日本酒入れた!香りが!香りが良い!」
「落ち着いて落ち着いて…」
「みんなに見られても気にしていませんね」
「いやぁ…アレは集中しすぎて周りを把握できていないぞ」
「もう少し効率化を図れると思うが…」
「あんな突然食べたいもの列挙されて全部作ろうとしているのに効率化も何もないかと思いますが?」
「…みんな顔背けてるよ?」
「まあ、いつもみんなの期待を叶えてくれるゆーくんは凄いと思う」
「いつも無茶振りされてるのか…」
「いつもじゃないよ!?」
「みんなのママしているよねぇ」
「娘であり、ママ…良い」
「師匠!祓戸様が伊邪那美様を惑わせてます!」
「トウトイ…トウト…」
「師匠?師匠!?」
───いや、外野煩いですよ?
二人に手伝って貰ってテーブルの上に食事が並べられる。
そしてついでにと並ぶお酒の数々…本日は日本酒メインとなっております。
「いただきまーす!」
我先にと食べ出すゆる姉様。
[…うん。筑前煮はちょっと納得いかない]
「これで!?」
[ちょっと雑。味もだしを落ち着かせてから投入すれば良かった…]
「いや、君は料理人ではないだろう?聞いてる?」
[明日は肉じゃがでリベンジか…]
「肉じゃが…楽しみ」
「祓戸様の手のひら返しが熱い」
「…美味いな」
「ああ、みんなで食べる温かな食事…」
「日本酒と豚肉生姜…良いな」
「まさかここまで甘くてご飯に合う料理があったとは…」
そんなに悪い評価ではなくて良かった…あ、しまった。青野菜少なくね?
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