1009話 主要国緊急会合…のはず?
SIDE:世界
「───神々は、私達を見限っていた?それを、あの巫女が止めていた?…家族だから話を聞いていた?…そんな馬鹿な話があるか!?」
「前から配信でちょくちょくそんな事を言っていただろう。何を今更」
「我々の国でも即座に承認を押す危険性を国民に提示していましたが…はぁ」
「お前達の国が巫女や神々を制御しないからこうなるんだ!」
「流石国家主導で1000万人も承認ボタンを押させた国は違いますな。煽るのがお上手だ」
「何を!?」
「審議の石板で承認した者達のうち、欲望や悪意、邪心、先導されての承認者一覧が普通に見られますよ」
「あんな物神々が適当にでっち上げた物だ!」
「ほう、神々が適当にでっち上げた。であれば国内で間髪入れず放送された「我が国から巫女を出そう」というスローガン放送はどう言い訳を?更に言えば神々のでっち上げという発言自体不敬に当たるのでは?」
「あんな物フェイク報道だ!それに我々の信奉する神では無い!我々が信奉しているのは───」
「仏教神も大天使もあちら側に着いているのに?義務は果たさずに強欲ですな!」
喧々囂々の言い合いの中、議長がガベルを叩く。
その音に一同が音の方を向き、ため息と共に静かになる。
「緊急でこの回を開催したにも関わらず、これだけの国の首脳が参加してくださったこと、心より感謝します。
さて、この会議を開催した理由については事前に連絡をしていますが、次代巫女の選出と先代巫女への労いについて。そして今後の対魔物対応ですが…日本の磯部総理、何か情報はありますか?」
「…日本政府としては次代の巫女を選出致しません。国民の自由に任せます…欲望や邪心あれば神をも殺す雷が受験者を焼き殺すと言っている以上、無駄死には避けたいのです」
「たかが雷だろう」
「ええ、あのビルの警備をしている人のカタチをした雷達です」
「えっ?」
「偶にゼウス神が彼等によって食堂からつまみ出されるそうですよ?」
「ゼウス神…何やってるんですか…」
「えっ?」
「ふむ…他に情報は?」
「あとは、神々の配信でも出ていましたが、巫女という名称はあくまでもただの称号、呼び方であって義務や責任、力を伴わない…ハイリスク、ノーリターンの代物であるという事くらいです」
「それは確かなのですか?」
「ええ。これは神々から以前にも言われています。名称的に使者や巫女と呼んでいるだけで力を与えてはいないようです。あくまでもその素質があり、それが開花しただけだと…ただ、その兄は神々も想定外の存在とのことですので」
「………岩崎結羽人の情報は各国分かっていると思うのでそこは省略します。つまりは百害あって一利無しと、そういう事ですか?」
「ええ。百害ある挙げ句負債を抱え、最悪不敬と断ぜられる可能性もあります」
「傲慢な!」
「神に対して傲慢と囀る我々こそが傲慢なのですよ。その一言で神敵となり国民が死に絶えてもその無駄口を叩けますか?それが国民の総意であると取られても?」
「ぐっ…!」
「そうでなくともあの白獅子達は普通に居るのですよ?一頭で国を蹂躙するあの白獅子が。あの兄も充分過ぎる化け物…それに喧嘩を売っていると解釈されたらどうするのですか?」
『なお、この会議は私、ガブリエルの手によって各国国民に配信されているので悪しからず』
!?
各国首脳が突如聞こえた声にビクリと反応し、磯部総理だけがはぁぁぁぁ、とため息を吐いた。
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