1008話 先代という重み


「「せーの、ゆーちゃんゆうくん巫女引退おめでとー!」」


『ぎゃーーーーっ!』

『マジか…これが、民意』

『巫女様お疲れ!』

『巫女様引退おめでとうございます』

『巫女様が自ら押したと聞き私も巫女様に休んで戴きたく押しました』

『ザマァ!:文京区小石川〇丁目〇〇-〇〇氏名:〇〇□』

『えっ?住所表示?』

『ああ、先代巫女様に対して悪意を向けたらこうなると』


「はい、馬鹿一匹釣れた。まあ、こんな感じです。因みに誰かに無理矢理かかせたり指示をしても指示者の住所氏名がでる不思議使用さ!

「まあ、約束は守らないとね!」

「今後ゆーちゃんにお願い事は出来ないと思ってね?ダンジョン内で反乱があったからって応援派遣しているらしいけど、これが最後と思ってね!」


『把握』

『兄者も先代巫女様に紐付けられるのでもう頼れない』

『は?』

『しまった!そうか!』

『1ヶ月後、どんなことになるのか…恐怖に震えています』

『新巫女がでるだけだろ?』

『ああ、何も知らない馬鹿が居る…』


「まあ今更だけど、どうして今回こんな事を急にやったのか把握している人ってどれ位いるんだろうね」

「1%くらいじゃないかな?全人類の」

「それはそれで困るんだけどね…都合の良いときだけ巫女という名前を使って私達の力を使おうとし、いざ事が終わった瞬間に権利を主張する…

 現時点で2781万人が承認し、その内77パーセントが欲望と悪意と判定が出ているわけだからね…ちょっと考えたら分かると思うんだけど、これって敵対行為だよ?

 ゆーちゃんは私達にお願いをし、身を削ってきた。しかし世界の人間は何をした?殆どの人間は助けて貰っても一度賞賛してお終い。

 殆どの国の代表達も同じで一国の財に匹敵するような稀少品を献上し、上位世界の神より引き出したこの世界には過ぎたアイテムや金属を受け取っておきながら国民にその事を知らせずあとから叩かれかねない伏線を張った。

 マンションに直接感謝を言いに来ていたのは4カ国だけ。この程度の扱いなんだよ、巫女ってのは。ただの一般人の称号。

 私達は巫女だからといって何の力も渡していないしなんの権限も渡していない。

 住んでいる日本という国だって巫女だからと言うよりも岩崎友紀というトンデモ能力者とその後ろに居る兄に手を出すなって事だからね?

 副総理は前に言っていたはずだよ?


「神の姿を見ているにもかかわらず舐めた態度を取ったのも俺ら人間だ。

 先に詫びるのは俺らだろうが。ただごめんなさいで済むわけもねぇよな?長い間助けてもらっておきながらこんな事してきたんだからな。

 それに、それらの受け皿となっていた巫女様にギャアギャア騒いでぶっ倒してしまったんだ。国としてこれまでの行いに対する補償は当たり前だが行う積もりだ。

 まあ、今後国としては現状出来る事として探索業務法第4条1項と3項に基づいて対処する。神々や巫女に対しての一方的な非難や攻撃はと思って欲しい」


 って。

 政府は謝った。しかし国民は意味も分からずギャアギャアギャアギャアありもしない都合の良い幻覚ゆめを見てありもしない権利を主張し、巫女を貶めた。

 私達はね、あの子の純粋な思いを受けて家族として受け入れた。そしてあの子はその希有な力を使い消滅の危機に瀕していた神の復活まで成し遂げた。

 そんな大切な家族を貶されて…怒らないと思っているのか?」

「まあまあ…樹神殿…かなりの神々が身勝手すぎる事に怒っているから甘い考えで次代の巫女を受けようと思っていたら…死ぬだけでは済まないと思って欲しい。

 全ての地域の集計が終わった時、次代巫女の試験についてアナウンスするからそのつもりで。

 ああ、今更ゆうくんに取り成しを頼んでも既にあの子はもう先代巫女。君達が求めていた力ない名誉職だからね?まあ元々ありもしない名誉なんだけど」

ユグドラシルと祓戸は鼻で笑うと配信を終えた。


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