729話 萌えは戦争


 さぁて編集されたものを…

『パパ、ジャンヌさんと龍田比売様起きないよ?』

『あの、バイタル停止しているようですが…』

 えっ?

『『あ、右手が持ち上がった』』

 えっ?えっ!?

 1人と1柱の右手が持ち上がり、自身の胸の上で落下した。

「「ごはっ!?」」

 えええええええっ!?

 何その蘇生法!いやバイタル止まっているって言ってたのになんで右手動くの!?


「いやぁ…召されるところでした」

「腕は何とか念道力で動いたから助かった…」

 なんで揃も揃ってそう清々しい笑顔なの!?

 ジャンヌさんと龍田比売様に回復薬を飲ませる。

「尊すぎて尊すぎて…おうたしゅごい」

「踊りを見て、歌を聴いてトドメがアレだと逃げようがない…」

「これからそれらを組み合わせ編集したものを見る予定なんですが…」

 だからそんな見たら死ぬとか聞いたら死ぬみたいな言い方しないで?

 ただそれでも何かあったとき救急救命手段があるのは大事!ということで試写会は屋敷の前で行うことに。

 そこは院内では?と思ったけどいわない。

 マイヤとリムネーが暗幕とか即席会場を楽しそうに用意していたからまあ、良いかなぁと。



 白城さんや一部の神兵さん方は後半見るという事でまずは…

「あれ?ジャンヌさんと龍田比売様も後半ですか?」

 真っ先に見ると思っていたのにどうしてだろう。

「「一拍おかないと耐えられそうにない(です)」」

 真顔だった。滅茶苦茶真顔だった。

「あ、はい。了解です」

 あのですね?どうして白城さん含め皆さん耳栓しているんですかねぇ?

 まあ良いですけど…

「はじめますねー」

 そう伝えて上映を始めた。

 マイヤとリムネーは目をキラキラさせて見ている。

 しかも姉妹で『まねっこっぽくしたらよかったのかなぁ』とか『お父様ばかり注視していたのは少し恥ずかしいですね…』とプロっぽく問題点を話し合っていた。

 で、チラリと他のみんなを見ていると…大惨事だった。

 まだ中盤なのに手を合わせながら鼻血を流している人が多数…あ、場面転換シーンになった途端に皆の顔色が変わってきた。

 そして見終えたときに大号泣し、何名かがボーッとして放心状態の人などが…あ。

「白城さん!緊急!緊急!!」

 目を閉じて精神統一していた白城さんを揺すって急ぎ対処をお願いする。

「よりにもよってお前かメリア!」

 そう叫びながら手に電撃を起こし、胸元に押し当てた。

 ビクンと大きく痙攣し、ガバッと起き上がった。

「…にゃんこは!?」

「正気に戻れ!」

 メリアさん、どんな夢を…

 他には…ちょ!?神兵さん2名ほど倒れてる!?


 その後もう一度上映をし、仮死3名という結果だった。

 ───その中に白城さんと石長比売様がいたんですけどね!

 マイヤとリムネーは2回見て駄目出しを5ヶ所していた。

「これは、人類には早すぎるし、神々にも早すぎると思います」

 白城さんがそう言い、メリアさんも何度も頷いた。

「ではこれを何度も見て心を浄化し、鍛えましょう!」

 ジャンヌさんが力強くそう宣言した。

「いやそれ中毒だよね?」

 ジャンヌさん、思い切り私欲ですやん…


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