359話 課長と昼食(でも課長放置)
「ぇえー?」
課長が困惑の声を上げる。
いや、下拵えしたって言ったじゃないですか。
一気に焼き揚げて南蛮酢に軽く漬ける。そしてカット。
これだけ。
同時に5~6枚は出来るから10分そこらで問題なし。
「これはお隣さんに持って行くッス!」
「私はこれを妹ちゃん達に届けるわ」
出来上がった物をタイムさんとフィラさんがそれぞれの分を持って消えた。
『マイヤみんなのご飯あげてくる!』
そう言ってマイヤは大容量キャットフードを持って消えた。
───いや、本当にキャットフードで良いの?
「では、課長はご自身の膳を持ってこちらに」
「ああ、分かった…しかし、本当に10分そこらって…」
課長が何か呟いているけど…まあ、些細なことです。
お膳を持って客間へと向かう。
襖を開け、室内に入ると石長比売様が何かを一生懸命書いている。
「石長比売様」
「あっ…えっ?」
石長比売様が僕を見て…その後ろの課長を見て固まった。
「はい。昼食です。他の神様の分を出してきますので課長と一緒に食べていてください」
「えっ…?」
助けを求めるような顔をしたけど、気のせいという事で僕はサクッと移動した。
「えっ?邪神様、戻られたんですか?…朝居ないから寝ているものとばかり…」
全員分用意した所でゆる姉様からストップが掛かった。
「いやいや…これまで絶対に食事には来ていたでしょ?」
「まあ、そうですけど…」
朝は「いないよー」「あ、そうですか」でスルーしていたからなぁ…
「どうも自世界に突如ダンジョンが侵攻を仕掛けてきて2割の邪神が倒されたらしい。だからその対処のために…ちょっと戻るって………んんっ!?」
「ちょっと、戻る…ですか?」
「……また来るつもりなんだろうねぇ」
いや、かなり大事ですよね!?そうそうここへは来ることは出来ないですよね!?
「───居ない分おかわりが、できる!?」
ハッと気付いたような顔をするせお姉様。
「タイムさん。後で邪神様に支援物資を届けてください」
「畏まりッス!」
邪幼女神様の食事はお弁当箱に詰め込んで保管。
数名がガッカリした顔をするけどスルー。
支援物資は…穏茶の葉十枚くらいをポリタンクに入れて氷水入れたもので良いかなぁ…中級快癒だから問題無い、かな?
みんなが食事を始めたので僕は自室に行き、激安折りたたみ20リットルウォータータンクを取り出す。
そこに氷をあるだけ入れて水を溜める。
急いで箱庭に行って茶葉を取って…ん?みゃーこ?反省してないよね?白獅子達は近付かないよ?…あ、ショック受けてる。
さて、水出しっぱなしだし、急いで戻ろう。
───ありゃ、15枚。まあ、全然問題無いかな?どれくらい濃くなるのか分からないけど。
茶葉を投入。水を止めて軽く揺する。
そして鑑定…うん。問題ないっぽい。
「タイムさん」
「これを持っていけば良いんッスか?」
「あとこのお弁当と…紙コップと…向こうの人が喜びそうな食べ物を一万円分買って持っていって」
タイムさんに一万円を渡す。
「アイツらにはドッグフードで良いんッスよ」
おっと、何か恨みがありそうだ。
「まあ、そこはタイムに任せる」
「急いで行ってくるッス!」
そう言って消えた。
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